4年ぶり開催の「菰野ふるさと映画塾」 県内外から参加の22人 3日間で映画制作に挑戦

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 映画やドラマなどの撮影誘致をして、映像制作者の支援活動をする「ロケーション応援団菰野」(LOOK)が主催する「菰野ふるさと映画塾」が、4年ぶりに6月30日(金)から2泊3日の日程で菰野町の湯の山温泉で開かれた。コロナ禍での中止を経て、待望の再開を迎えた同塾、今回は17歳から75歳まで22人の受講生のうち、18人が初参加。募集締め切り前までに県内外から定員以上の申し込みがあり、円滑な運営のため、過去の受講生3人をサポートスタッフとして迎え、うれしい悲鳴の中、スタートした。【湯の山温泉の涙橋で撮影する瀬木チーム=菰野町菰野】
 
 御在所ロープウエイアドバイザーの森豊さん(64)を塾長に、2013年に初開講。四日市市出身の映画監督・瀬木直貴さんを始め、第一線で活躍するクリエイターらが講師を務めている。初日は、簡単な質疑応答の後、瀬木監督と四日市市出身で映像ディレクターのシャンソンさん率いるチームと、作道雄監督と映像ディレクターの長尾淳史さん率いるチームの2つに別れて早速企画会議に入った。

テーマは「勇気ある一歩」
  
 「普段の生活とは違う頭の使い方をして、体力消耗して大変」と笑顔で話すのは、瀬木チーム脚本班の1人で四日市市から参加した映画好きの山本瑞穂さん(40)。与えられたテーマは『勇気ある一歩』。初日は脚本を仕上げるのに6時間半かかったそうだ。「都会で傷つき、帰省してきた女性が、温泉街のカフェでの交流を経て前を向く物語。作る側は意図を分かっているが、見る人にそれが伝わるように制作できるかな」と、期待交じりに不安も覗かせた。

【小雨の中、和気あいあいと撮影が進んだ=菰野町菰野】

 一方の作道チームは、2日目、時間をかけて「ホテル湯の本」ロビーで撮影していた。旅館で働く親子の確執が、とあるきっかけで解ける物語。6人の役者が入れ替わりに登場するシーンで、役者の演技と撮影、音声等スタッフの息を合わせるのが難しい。長尾ディレクターからきめ細やかなアドバイスが飛び、メンバーらは張り切って何度も同シーンに取り組んでいた。

【役者とスタッフ一丸となって撮影に挑む・「ホテル湯の本」ロビーで】

 瀬木監督は、「劇場や映画館が少ないこの時代、短期集中で映画づくりを実践しようと集まってくれるのは、やはり映画の力。映画は、見る側にも夢の世界だけど、つくる側にとっても夢。合宿での制作で体験する『夢の時間』を経て、自身の新しい人生に踏み出してもらえたら」と受講生にエールを送った。また、森塾長は、「運営を通して、映画にはとにかくお金がかかるが、お金で買えない価値があると実感した。資金繰りは厳しいけど、多方面よりご支援頂きその熱き思いに感謝。残りの人生、文化芸術の発展のお手伝いをしていきたい」と満面の笑みで語った。

【同塾10年の歩みの写真の前で、瀬木監督(左)と森塾長】

 それぞれのチームの作品は、10分程度の短編映画に仕上げ、最終日の上映会で鑑賞する。今後は、各地の短編映画祭へのエントリーや、SNS上での公開も視野に入れている。来年以降も、同塾の開催は継続していく予定だ。  

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