50年前から次世代へ、四日市の図書館の姿を考えるふたつの企画を同日開催

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 三重県四日市市の現図書館が50周年を迎えたことを記念する対談「ながいながい図書館の話」と、基本設計づくりに入った新図書館に市民の意見を求めるワークショップが7月17日、いずれも市文化会館で開かれた。対談では、半世紀前にできた現図書館が児童図書室を備えるなど、当時としては画期的な施設だったことが語られ、ワークショップでは、次世代へ残す図書館がどんな空間であるべきか、さまざまな意見が交わされた。【対談で語る坂倉加代子さん(右)と増田喜昭さん=四日市市安島2丁目】

 どちらもの企画も市立図書館の主催。対談は、開館当時、現図書館のあり方をリードした元職員で現NPO法人四日市こどものまち理事の坂倉加代子さんと、開館から3年後に子どもの本専門店「メリーゴーランド」を開いた店主の増田喜昭さんが登壇。当初、定員80人の予定だったが、応募者が多く、抽選をしたうえで約170人が入場した。

 坂倉さんは、当時の日本では珍しかった児童の本が充実した図書館をつくることに奔走した。その坂倉さんがそろえた児童書を、図書館に通って読み漁った増田さんが、やがて子どもの本の書店を開き、そこで本を買ってもらった子どもが、成長して現図書館で働いている。2人は、そんな、本の魅力が縁になって世代を超えていくことを思い出とともに語り、大切な本を守る役割が図書館にはあると会場に伝えた。

 ワークショップは今回が1回目で、事前に応募した市民約30人が参加。5グループに分かれて新図書館の機能などについて意見を交わした。主催者側から、3階から8階に展開されるフロアデザイン2案が提示された。それぞれ、児童・子育てや若者向けの部屋の階数など造りが異なり、参加者は、これらを見て、何が大切にされるべきかを考えた。(フロアデザインに意見を述べ合う参加者)

 各グループから出た意見では、「いざという場合に備え、児童・子育ての部屋は地上に近い方がよい」「眺めのいい部屋で、いつでも市民が語り合えるような空間がほしい」「民間施設が入る1階のカフェと3階以上の図書館が切り離されるのは残念。カフェでも本が読めるような空間があるといい」など、思い思いに語られた。

 提示された案では一方に吹き抜けが3、4階に設けられたが、賛否は両論だった。ほかにフロアデザインではないものの、駅前のビルに入る新図書館について「駐車場がかなり心配」との意見もあった。

 ワークショップは今年度中だけで計6回開く計画で、会場で交わされた意見は新図書館のホームページでも紹介していくという。次回のワークショップは8月10日に開催。10代の若者にも使ってもらう学習室のあり方などに意見を求めるといい、高校生の参加を歓迎するという。