現図書館での一部機能継続は断念、建物すべてを除却して敷地は売却、四日市市が委員会で説明

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 三重県四日市市は、新図書館を近鉄四日市駅前に開設したあと、現図書館は建物すべてを除却し、敷地を売却する方針を固めた。9月4日の総務常任委員会で説明した。市議会では、図書館の機能が2カ所で続くことに費用対効果の面から問題視する発言が出ていたが、今回の説明で市議会との対決の図式になることは避けられた形だ。【新図書館の開設後は完全に姿を消すことになった現図書館=四日市市久保田1丁目】

 委員会での市の説明によると、当初、市は①閉架書庫②自動車文庫の拠点③低年齢の子どもと保護者を対象とする機能を、現図書館を減築、改築して残し、新図書館と並行して活用しようと考えていた。

 この場合、点字録音室は減築して新図書館で機能を確保することや、減築が難しい部分はピロティー形式の駐車場にするなどとして検討したところ、コストは約2億4000万円かかり、ほかにランニングコスト、3~4人分の人件費、光熱費が必要で、建物の耐用年数が切れる20年後には更新に約6億円がかかるという。

 このため、「代替案1」として。建物の大部分を減築し、更地になった部分を売却、残った南側に閉架書庫と自動車文庫の拠点を確保し、子どもと保護者を対象にする機能は新図書館で確保することを検討した。この場合、減築、改築などの整備に4億5000万円が必要だが、土地売却費が3億4000万円見込め、差し引き1億1000万円のコストになるという。20年後に建物の耐用年数を迎えると、更新に1億円かかるという。

 さらに、「代替案2」として、現図書館すべてを除却し、敷地を売却することを検討した。この場合、4700平方メートルを売却する整備コストなどで5億円が必要だが、売却益は4億6000万円を見込め、差し引き4000万円のコストになるという。

 市側は、これらを説明したあと、整備コストを低く抑えられる「代替案2」を選択したいと表明、新図書館の開設後は現図書館をなくし、閉架書庫と自動車文庫の拠点は他の土地へ移し、子どもと保護者を対象にする機能は新図書館で確保する考え方を示した。委員からは「機能を残す説明がこれまで十分でなかった」などの意見があったが、市の選択「代替案2」に異論はなかった。

 

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