長年の懸案や障害者にやさしい公共施設のあり方など質疑、四日市市議会で一般質問始まる

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 三重県の四日市市議会は9月26日、一般質問が始まり、新風創志会の5人と無会派1人が質問に立った。地域での長年の懸案、障害者にやさしい公共施設のあり方などについてやりとりがあった。【一般質問が始まった四日市市議会=四日市市諏訪町】

 この日、ただひとり無会派から質問に立った今村厚美さんは、市役所隣の市営駐車場から市総合会館へ車いすで移動する大変さを、写真などを示しながら説明した。車いすを利用する友人に協力してもらい、「使いにくい面や、危険が潜んでいるような状況がある」と指摘した。

 市営駐車場では、障害者用のスペースが10台分確保されているが、駐車場内は傾斜もあり、車いすの人が運転席の目線からは確認しずらい状況にあること、車いすで車道部分に出ないと先に進めないため危険なこと、地下を通って総合会館まで行き、エレベーターで上階へ移動することの使いづらさなども指摘した。「ベビーカーを押す母親にも同様の難しさがある」とも話した。

 今村さんは、市役所東にある駐輪場を「思いやり駐車場」にできれば、と提案したが、市側は駐輪場の代替場所を見つけるのが困難などとして、駐車場にするのは難しいと答えた。

 新風創志会では、辻裕登さんが、地域から長く拡幅の要望が出ている「八幡踏切」の改善見通しを質問した。関西本線の富田駅の北にあり、歩車道の区別がないためだが、市は、JRと協議したところ、拡幅には線路内の機械の移設などで工費が高額になると分かり、そのままになっているとした。辻さんは「少しずつでもいいので、改善を探ってほしい」と求めた。

 早川新平さんは、四日市市住吉町の住吉運河埋立事業について質問した。これも昭和30年以前からの流れを汲む長年の懸案だといい、埋立事業が進まない理由が、県が地元の地権者らに提示した「念書」の存在にあるという。しかし、念書については県と地権者の間に解釈の開きがあり、問題をこじらせているという。早川さんは「こうした時こそ、行政の信頼性が必要だ」と、地元との話し合いを大切にするよう求めた。

 山田知美さんは、中小零細業者がコロナ禍の危機を乗り越えようと借りた融資の返済がこれから厳しくなるため、市による制度のほか、日本政策金融公庫の制度への利子補給など、支援策を広げてほしいと求めた。子どもの意見を大人社会がしっかり受け止めるための「子どものアドボカシー」についての取り組みも求めた。

 諸岡覚さんは、LGBT法を踏まえ、「心は女性」と自称する男性が女子トイレや女子更衣室を使えるのかと質問。市側は「できない」とし、だれでも使えるトイレの使用を促すなどとした。諸岡さんは、これらの判断基準、ガイドラインの必要性などについても求めた。

 平野貴之さんは、SDGsの観点から、市が使用を広げた「B-1グランプリ」のポロシャツの素材が100%ポリエステルで、繊維くずがプラスチックごみになると指摘、市側が「できるだけ安価にということで選んだが、環境面への配慮も十分に考える」と答えると、平野さんは、「洗濯機の中に入れるだけで繊維ごみを取り除いてくれるものも今は売っている」などと切り返した。