四日市市の吉崎海岸、国際的にも登録される「自然共生サイト」のひとつに認定、環境省が発表

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【毎月第一日曜日の清掃活動には多くの市民らが参加している=四日市市楠町】

 三重県四日市市の吉崎海岸が、民間の企業や団体などが生物多様性の保全に取り組んでいる区域として国際データベースにも登録される「自然共生サイト」に認定された。環境省が10月6日に発表した。アカウミガメの産卵記録があるほか、貴重な昆虫や植物などが見つかっていることも重視された。保全活動を続けてきた地元の団体などは、今回の認定を歓迎し、区域の調査をさらに進め、砂浜の清掃や勉強会などの活動を積極的に発信していきたいとしている。

 吉崎海岸は、四日市市楠町を中心に、約500メートルに渡って続く砂浜で、アカウミガメの産卵が2014年7月に確認されたほか、ハマヒルガオ、ハマニガナ、シロチドリなど動植物が観察されている。毎月第一日曜日の朝、地元の楠地区まちづくり検討委員会やNPO法人四日市ウミガメ保存会が中心になって砂浜のプラスチックごみなどを拾う清掃活動を2009年から続けており、昨年も今年も2000人を大きく超える人が参加している。清掃活動のあとは、海岸の生物や植物、プラスチックごみの実態などをテーマに勉強会も開いている。

 楠地区まちづくり検討委員会の森正一会長は「清掃活動にはたくさんの人に参加してもらっており、これからもしっかり続けていきたい。昆虫や鳥、花などもあらためて調査をし、定期的に情報を発信していきたい」と話した。四日市ウミガメ保存会の下田菜生会長は「吉崎海岸はウミガメだけでなく、昆虫、菌類、鳥類、植物なども貴重だと認められたと思う。それらを含めて今後も守っていきたい」などと話した。この2団体と共に環境省に認定の申請をした四日市市は「本市における貴重な砂浜海岸での活動を市内外に積極的に発信することに加え、より一層の保全活動を充実させてまいります」などとコメントを発表した。

 今回の認定は、2030年までに地球の陸、海それぞれの30%の面積を保全する目標に基づいており、環境省は「30by30(サーティー・バイ・サーティー)」と呼んで専門のサイトも立ち上げている。目標は2021年のイギリス・コーンウォールで開催されたG7サミットで合意され、2022年のカナダ・モントリオールでの生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された。

 さかのぼると、目標へのスタートは2010年10月に名古屋で開催されたCOP10で、「自然のめぐみ」を得るための保全面積に関し、達成目標(愛知目標)を定めたことが起点になっている。日本は2020年までに愛知目標を達成し、自然保護地域、自然環境保全地域、鳥獣保護区、保護林などが保護地域になったが、今回の目標は、それをさらに拡大しようというものだ。

 吉崎海岸のような区域は、民間の自主的な取り組みによって自然が保全されている場所もあり、生物多様性条約などでOECM(保護地域以外で生物多様性に資する区域)とも呼ばれている。環境省のこの日の発表は第一弾で、全国で120の区域が発表された。今後、区域は拡大される。また、三重県からは亀山里山公園、(亀山市)、羽根の森(伊賀市)、トヨタ三重宮川山林(大台町)も選ばれた。