「健康被害が起きてからでは遅すぎる」、四日市でPFASめぐり緊急学習交流集会

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【PFAS問題の歴史から四日市市に求める姿勢までを語る松岡武夫さん=四日市市安島2丁目】

 市民団体の「四日市公災害市民ネット」は10月21日、「私たちのいのちの水が危ない PFAS緊急学習交流集会」を四日市市文化会館で開いた。全国でPFAS(有機フッ素化合物)のうち毒性が指摘されているPFOA、PFOSの高い検出例が相次いで報告されており、「公害を体験した四日市市だからこそ、しっかりと飲み水の安全性を調査すべきだ」と求めた。

 市民ネットは7月に森智広市長に市全域の汚染の実態把握などを求めたが、市側は水道法で行う検査項目については問題がなく、PFASについても一定の場所で検査をしており、現状では市全域を調べる必要はないとの立場で回答。このため、市民ネットは「もっと広くこの問題を認識してほしい」と、今回の集会を呼びかけた。集会には四日市市外からも含め約70人が参加した。

 市民ネットの松岡武夫さん(元皇學館大教授)は、1990年代にPFAS汚染に気づいた米国では、2023年に米環境保護庁(EPA)が法的拘束力のある飲み物の規制値としてPFOS、PFOAそれぞれに4ng/L(1リットルあたり4ナノグラム)の提案をしているのに対し、日本では2020年に50ng/Lの暫定目標値が設定された状態にあることが紹介された。

 四日市市では環境省の全国調査で、2019年に海蔵川(海蔵橋)でPFOAが101.0、PFOSが1.3の計102.3ng/Lが検出され、同年度のPFOAの値で全国ワースト10位であったという。翌2021年度はPFOA48ng/Lで半減していたが、それでも暫定目標値ぎりぎりだったという。

 松岡さんは、現状の市の調査に対する姿勢は「市民の大切な地下水を汚染から守る責任感、危機感が感じられない」と断じ、未然に危険を避ける「予防原則」に立った対策が必要だと述べた。「公害の歴史を忘れ、危機感を持たず、現実を直視しないことは、命を軽視する重大な人権侵害の行為と言わざるを得ない」とする厳しい言葉で報告を締めくくった。

 市民ネット共同代表の森下裕二さんは、市民ネットとして独自に市内20数か所での水の調査を進めていることを報告。結果しだいでは、市への働きかけを一段強める必要が出てくるとした。