浦嶋りんこさんら表現力豊かに読みきかせ 市立図書館で

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【大型絵本を読み聞かせる浦嶋さんらと聞き入る会場の様子=四日市市久保田】

 四日市市出身のアーティスト・浦嶋りんこさんによる絵本の読み聞かせイベントが11月8日、同市久保田の市立図書館で開かれた。浦嶋さんが11月4、5日に出演したミュージカル「回転木馬」(同文化会館)の共演者で市内在住の俳優・山田宗一郎さんと浦嶋さんの親戚で市立大谷台小5年の笹岡陸君も登壇。1人ずつや3人が役割分担して読むなど工夫を凝らし、計6作品の朗読で参加者を絵本の世界に誘った。

 親子連れや小学生、読み聞かせに興味のある大人など50人の定員で埋まった同図書館2階視聴覚ホールで、浦嶋さんが最初に読んだ絵本は「じごくのそうべえ」(桂米朝・上方落語・地獄八景より 田島征彦・童心社)。綱から落ちて死んでしまった軽業師の「そうべえ」達が地獄で様々な鬼を相手に渡り合う痛快な物語だ。浦嶋さんは、たくさんの登場人物の関西弁のセリフを高低様々な声色で使い分け、表現力豊かに読み上げた。冒頭、「怖いお話なのかな?」という子どもたちの緊張が伝わるかのようにシーンと静まり返った会場だったが、次第に浦嶋さんの絶妙な語りとこっけいな展開に引き込まれ、大きな笑いが巻き起こった。

【役割分担して大型絵本を読む浦嶋さん(左)、山田さん、笹岡君(前列右)】

 

 5歳児の父でもあり、毎晩2冊の読み聞かせを欠かさないという山田さんは、「そらまめくんのベッド」(なかやみわ・福音館書店)など心温まる2冊を披露。客席からは「知ってるー」「ベッドあったよー」など、声が飛ぶ場面があり、山田さんは一つひとつの声に「また聞いたらおもしろいかもよ!」「別の人のベッドかな?」と親しみのある対応をしながら身振り手振りを交えて朗読した。しっかり絵を見なくても、語りで小さい子どもにも内容が伝わる話だと思い選んだ絵本だそうだ。

【多彩な表情で読み聞かせをする山田さん】

 

  笹岡君は、一緒に声を出していく参加型の絵本「あーといってよあー」(小野寺悦子/ 堀川理万子・福音館書店)を読んで会場を盛り上げた。上を向いて「あー」、胸をたたいて震え声の「あ~あ~あ~」、大きく両手を開いて「あー」という場面では大人も子どもも手を広げ楽しんでいた。アニメキャラクターのものまねが得意な笹岡君だが、大勢の前で読み聞かせをするのは初体験。「あんまり緊張はしなかった。楽しかったしまたやりたい」と笑顔を見せた。   

 3人で役割分担して読んだのは大型絵本の「すっぽんぽんのすけ」(もとしたいずみ/新井良二・鈴木出版)と、紙芝居「ねこのでしになったら」(津田真一/和歌山静子・童心社)。「ねこ~」は、アンティークな黒い木枠の紙芝居舞台を使って披露され雰囲気充分。子どもたちは食い入るように一枚一枚の絵を見つめて楽しんだ。菰野町から母親と兄と来た5歳の男の子は、「紙芝居は保育園で見たことあるけどおもしろかった」と話していた。

 「昔から朗読をしたいと思っていた」という浦嶋さん。今回は図書館スタッフお勧めの10冊の絵本を借り、実家のキッチンに演者3人で集合し吟味したという。「本は好きですが、自分で選ぶと偏ってしまう。人がお勧めしてくれる本は魅力的ですね」。「じごくのそうべえ」は、絵本よりボリュームアップした前後編の紙芝居版もあるそうで、「次はぜひ3人で演じ分けて紙芝居版に挑戦してみたいです」と意欲を語った。不定期ではあるが、今後も読み聞かせイベントを継続していきたいとしている。