闘病経て亡くなった夢さんの卒業証書 自宅で母受け取る

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【夢さんの卒業証書を手にする母・恵さん】

 県内各地の小学校で卒業式が行われた3月19日、四日市市立浜田小学校では72人の卒業生が門出を迎えた。名前を呼ばれ、1人ずつ松月雄一校長の前に進み出て卒業証書を受け取る児童ら。「宮田夢」。6年1組の最後、その名前は呼ばれた。

 宮田夢さんは、同小学校の3年生だった2020年10月に、根本的な治療法がない小児悪性脳腫瘍「脳幹グリオーマ」で8か月の闘病を経て天国へ旅立った。同小では、在校生や保護者の間で夢さんのことを思う人が多数いることを受け、「夢さんの家族や皆の気持ちに寄り添い、学校ができることを」と卒業証書を出すことになっていた。

 松月校長が、式後に夢さんの家を訪れ、母の恵さん、祖父母が見守る中、夢さんの遺影に証書を読み上げ、恵さんが受け取った。松月校長は、卒業生に向けて「世界では紛争など様々な事情で学校に行けない子もいる。夢さんの分までとは言わないが命あってこその人生、大切に生きてほしい」と式辞で述べたことを話し、「この学年は、低学年から自発的に物事に取り組む子たちだったと聞いている。夢さんがいたら、皆と同じように達成感を持って笑顔で卒業していっただろうと思う」と語った。

 恵さんは、「夢が亡くなってから、小学校の近くを通るだけでも辛くて仕方がなくて、最初は卒業式のことも考えられなかったが、夢だったらきっと卒業証書欲しいって言うだろうなと。皆に思ってもらい、心の中で夢が生きていたことがわかってありがたかった」と感謝した。

【証書を読み上げる松月校長】

 YOUよっかいち229(2024年3月1日)号掲載の「天国へ届け 夢さんに卒業証書(https://www.you-yokkaichi.com/2024/03/02/31211/)」には、読者から「家族をがんで亡くしたので治療の辛さがわかる。小さな子がどんなに頑張っただろう」、「治療法が確立しますように」、「自分も献血やヘアドネーションをしようと思った」、「今ここにある日常の幸せは、当たり前のものではないんだと思った」、「家族に優しく接しようと思う」など、たくさんの感想が寄せられている。

 

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