緻密なボタニカルアートとウェッジウッドの陶磁器を展示、四日市市立博物館で特別展

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【精細に描かれたボタニカルアートが並ぶ特別展の会場=四日市市安島1丁目】

 そらんぽ四日市(四日市市立博物館)で特別展「英国王室に咲くボタニカルアートとウェッジウッド~植物画のおいたち~」が開催中だ。緻密な植物画のボタニカルアート、「クイーンズウェア」と称されたウェッジウッドの陶磁器など計約190点を展示している。6月2日まで。

 ボタニカルアートは科学的な研究を目的に、草花を緻密に描いた植物画で、大航海時代などで珍しい植物を追い求めたプラントハンターたちの周辺で隆盛、専門の画家も活躍したといわれる。

 博物館の資料によると、18世紀、英国王室はジョージ3世と王妃シャーロットが世界各地からの植物収集や国内の庭園整備を支援したことで、王室と植物学に深いつながりが生まれたという。

 写真などがない時代に、ボタニカルアートは植物の様子を正確に伝えることに役立ち、1787年にウィリアム・カーティスによって植物図鑑「カーティス・ボタニカル・マガジン」が創刊されると、学者や貴族だけでなく、園芸を愛する市民の手元にも広がった。

 シャーロット王妃は陶磁器産業の発展にも貢献したとされ、ジョサイア・ウェッジウッドが1759年に創業した陶器メーカーのウェッジウッドは、エナメルを用いたクリーム色の陶器を王妃に献上し、女王の陶器を意味する「クイーンズウェア」の名称使用を許可される。

クイーンズウェアなどの陶磁器などが並ぶ展示会場

 王室御用達となったウェッジウッドの食器は、欧州を中心に世界各国の王室などからも高い評価を受けた。ウェッジウッドの調度品の中には、ジョサイアの息子ジョン・ウェッジウッド(ロンドン園芸協会、現王立園芸協会の設立者の一人)の提案で生まれた「ダーウィンリリー」など、しばしば植物のデザインが採り入れられているという。

 特別展の会場には、植物図鑑にある作品を含むボタニカルアート約150点が並ぶ。銅版に手彩色された色は鮮やかで、花や葉の細部が正確に見て取れる。また、かつてのウェッジウッドの調度品など約40点の展示では、時代の雰囲気を感じさせる重厚さを感じられる。

 会場では関連展示として「江戸のボタニカル~三重の本草学~」も開催中。四日市ゆかりの本草学者、鎌井松石(1816~1892)が記した「三重本草」の中から、植物が描かれた資料などを展示している。東西のボタニカルアートを見比べることもできて興味深い。

 4月29日と5月26日の午後2時から、学芸員によるギャラリートークがある。無料(要観覧券)。観覧料は一般1000円、高校・大学生600円、中学生以下は無料。月曜は休館(祝休日の場合は翌平日)。

四日市ゆかりの本草学者、鎌井松石の資料などで東西のボタニカルアートの見比べも

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