森智広市長が旧スターアイランド跡地での新図書館計画断念を表明、四日市市議会の議員説明会

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【議員説明会で新図書館計画について説明する森智広市長=四日市市議会】

 近鉄四日市駅東の旧スターアイランド跡地に新図書館を設置する四日市市の計画が実現困難になったことについて、森智広市長は5月24日、市議会の議員説明会で「計画の断念」を正式に表明した。物価高騰もあり、ビル建設の事業費が当初見込みの倍近くにふくらんだという。森市長は「早めに新しい候補地を見つける」と話したが、市議からは「市の図書館がどうあるべきか、時代の変化もあり、しっかり考えて進めるべきだ」などの意見が出された。

 森市長は議員説明会の冒頭、「新ビルを建設する近鉄グループから事業の延期申し入れがあり、共同開発は断念する。物価高騰という外的要因はあるが、残念なニュースをお伝えすることになり、申し訳ない。できるだけ早く新しい候補地を見つけ、全力で取り組みたい」と話した。

 市の説明では、土地を所有する近鉄グループ側が建物全体の整備費用を算出したところ約390億円で、工期は49カ月を要する見込みになったという。当初想定していた約210億円、工期37カ月を大きく超えたため、近鉄グループ側からは「事業延期」の申し出があったという。

 想定された新ビルの規模は、地上32階、高さ約147メートルの巨大なもので、1、2階に観光・利便の機能をもつ施設、3~8階が新図書館、9階以上が民間のマンションになる計画だったという。図書館のみの概算整備費用については、内装を加えると約270億円を超える見込みになったといい、これも、市が当初に想定した120億円~150億円を大きく上回るという。

想定されたビルは、新図書館の上層にマンションを載せた格好(議員説明会に提出された資料から)

 市は、今回の「計画断念」のあと、できるだけ早く、今度は市単独での建設を基本に、「中心市街地で新しい候補地を探し、新図書館の実現をめざす」などと説明した。森市長は「年内には新候補地を見つけるという気持ちでやる」との発言もあった。

 市議からは「これを機に、本来、四日市市の新図書館はどうあるべきか、デジタル化が進む時代の変化も考えて進めた方がいいのではないか」との意見があった一方、「すでに見積もりなどで2億4000万円もの費用を支出しており、これらは無駄になった。その責任は大きいものがある」とする厳しい意見もあった。