夫婦関係悪化の大ピンチ! 産後クライシスを防ぐには 出張保育士「For two」からアドバイス

198

【産後の夫婦関係について話す高橋さん夫婦=四日市市日永東】

 産後、急激に夫婦関係が悪化し危機的状況に陥る「産後クライシス」。厚生労働省の調査によると、ひとり親家庭(死別を除く)の約4割が、産後2年以内に離婚を決意したというデータもあり、その背後に産後の夫婦関係の変化があると推測される。産後クライシスを防ぐ心構えを、「For two」の名前で活動する出張保育士夫婦の高橋遣さん(32)と有沙さん(27)に聞いた。

  自分と向き合っていた妻が、産後子どもばかりに愛情を注ぎ、喪失感を抱く夫も多い。また「里帰り出産で妻が実家に帰り、ひとときのリフレッシュになるパターンもあるが、自分は必要とされていないと感じる人もいるかもしれない」と話す遣さん。夫が家事や育児に参加しても「やり方が気になる」という妻も多い。産前産後の不安定な体調で感情的になり、夫に否定的な言葉を投げかける人も。遣さんはそれでも妻に寄り添うことを勧める。否定されても、気にしない心の強さ必要だという。「産前産後の女性の変化は、男性の理解できる範囲を超えているため、そういうものと認めてあげることも必要」と話す。

  妻の態度に懲り、家事や育児に参加しないと、子どもが成長するにつれ、家族の中で孤立し、居心地が悪くなる。「仕事で疲れ、育児や家事に力が入らない」と思う人もいる。気持ちを切り替え、子どもと触れ合うことを楽しみ、ゲーム感覚や、運動する感覚で家事をすることがお勧めだという。

 遣さんは「ママは寛大な気持ちでパパの行動した結果よりも、踏み出してくれた事、その過程を見てほしい」と話す。有沙さんは「より良い夫婦関係を築いていくために家事は代行サービス、子育ては託児を利用するのも一つの方法」と話す。

  2人は日帰り温泉施設「ゆうゆう会館」の「お風呂で産後ケア」の託児をし、温泉に入って寛ぐ産後の人たちと接している。子どもや家事から短時間離れるだけでリフレッシュできる人も多いと実感している。

 生活スタイルの多様化、周りの人との関係が希薄になっていることなど、様々な要因で身内だけで子育てをするのが難しい時代だという。育休を取れない夫も多く、妻の復職後はさらに余裕がなくなる。「産後クライシスに陥らないために、夫婦の時間を作り、理解すること、認め合うことを大切にしてほしい」と語った。