2年度分で約650万円を寄付、小中高へ図書購入の目的で、四日市の伊藤澄夫さん

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【四日市市からの感謝状を廣瀬琢也教育長から手渡された伊藤澄夫さん(右)=四日市市役所】

 若い世代に本を読んでほしいと、三重県四日市市の伊藤澄夫さん(83)が7月18日、四日市市の小中学校と市内の県立学校(高校と特別支援学校)に図書購入のための寄付をした。市と県からは感謝状が贈られた。伊藤さんは若いころに読書の大切さを知り、図書充実のための寄付を続けている。

 寄付目録と感謝状の贈呈が同日、四日市市役所であり、伊藤さんから市は廣瀬琢也教育長に、県は坂井哲県教育委員会事務局次長に目録が渡された。廣瀬教育長、坂井次長からは感謝状が贈られた。

 この日の感謝状は、今年度分の寄付に対してのものだといい、四日市へは小中59校分の計265万5000円が直接の対象だが、今回は、伊藤さんから、2年続けての寄付の提案がされ、昨年度と今年度の寄付があったという。昨年度分と合わせると、四日市市への寄付額は計531万円になるという。

 県立学校への寄付も、今年度では60万円だが、昨年度と合わせると120万円。小中高の合計では約650万円になるという。四日市市の小中学校を含め、購入する図書は、それぞれの学校で相談して決めてもらうという。

県の感謝状を贈呈された伊藤澄夫さん

 伊藤さんは、同市広永町で自動車関連用品などの製作や金型製作をしている伊藤製作所の会長。「若い人の文字離れはよくない」と、個人としてだけではなく、会社からも図書購入への寄付を続けてきた。

 伊藤さんは、2023年、学校図書の充実のため多額の寄付をしたことに紺綬褒章を授与された時、「私は学校を出てから読書の大切さを感じたが、今の若い人の活字離れはよくない。ぜひ、本を読んでほしい」と話していた。今も業界紙や一般紙、趣味の本など、活字に触れるようにしているといい、日本のものづくりの知識を生かし、大学などでも若い世代に自らの経験を伝えている。

 感謝状贈呈後の懇談では、「新型コロナの感染が落ち着き、海外に出るようになったが、日本の教育が注目され、掃除や給食の当番を子どもたちもする日本の学校教育の取り組みが、マナーのよさや町の美しさにつながっているのではと話題になっている」などと話し、「日本の若い世代がそのように期待されていることはうれしいことです」などと話していた。

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