まき割りや火起こし、ドラム缶風呂――。三重県四日市市保々地区で11月23日、子どもから高齢者まで世代を超えて小学校に集まるイベント「学校プレーパーク」があった。参加者は非日常の外遊びや「同じ釜の飯」を楽しみ、穏やかな秋晴れの空の下で笑顔の輪が広がった。

消防団や高校生も協力 地域ぐるみの支え合い

豚汁を作ったり、火起こしをするため、地元の消防団が協力。地区市民センターに非常食として備蓄されている賞味期限が近いα米のわかめご飯も用意された。
豚汁は民生委員らが調理。地区内にある県立朝明高校ふくし科の生徒がドラム缶風呂の温度調整をしたり、子どもたちと遊んだりと、交流を楽しんでいた。

「よってこ保々」誕生 住民が立ち上げた新しいコミュニティ
主催したのは、保々地区の有志が立ち上げたコニュニティーグループ「よってこ保々」。地域の人が支えあい、課題を住民同士で解決できるまちづくりを目指し、昨年設立された。住民の赤星純子さん(50)と永野玲子さん(52)が中心となり、多くの人がボランティアで協力している。
地域食堂を毎月開催し、地域の人々と交流。放置竹林を整備して循環させる取り組みもしている。

消えゆく子ども会・老人会 四日市の地域課題
全国的に、自治会などの地域コミュニティが減少傾向にあるとされ、四日市でも老人会や子ども会の閉鎖が続いている。少子高齢化による会員数の減少の他、役員の負担の大きさや生活様式の多様化で、地域活動への参加意識が低下していることが一因とみられる。地域のつながりが希薄になることは、高齢者の孤立にもつながる。
補助金制度と自主運営 居場所づくりの挑戦
「孤食」の子どもの増加で、四日市市では、こどもの居場所づくり支援事業費補助金制度が始まった。補助金に頼らない運営も求められており、こうした課題を「解決したい」という思いで、よってこ保々が誕生した。
誰でも参加できる居場所へ
子ども会などの組織と違って有志による運営で、誰でも参加しやすく、日常生活の困りごとを食堂で相談する人もいるという。「自分にできることはない」と思いがちな人も、誰かの話し相手になることはできる。朝明高校のラグビー部員が食堂を訪れた時には、「がっつり食べる姿に力をもらった」と話す人もいたという。よってこ保々の取り組みは、これまでの自治会や子ども会、老人会とは違う地域の人とのつながりを生んでいる。








