現在、国内で流通するメンマのうち、国産はわずか1%未満。四日市市内の放置竹林で採取された若竹(大きくなりすぎた竹の子)から作られた国産メンマ(竹彩)が、11月26日(水)から12月2日(火)まで、近鉄百貨店四日市店のプラグスマーケットで販売される。取り組んでいるのは、里山の整備や環境活動を行う一般社団法人「ネクストステップ研究会」だ。

放置竹林は獣害や斜面崩壊の原因に
日本では古くから竹を生活用品や建材に利用してきたが、近年はプラスチックや金属に置き換わり、竹の需要は減少。繁殖力の強い竹は放置されると増えすぎて、他の植物とのバランスを崩す。密集した竹林は昼間でも暗く、人の目が届きにくいため、イノシシやシカが棲みつき獣害の原因になる。竹の地下茎が広がりすぎると斜面の安定性を損ない、斜面崩壊の原因にもなる。

輸入メンマに頼らざる得ない現状
スーパーなどで販売されているメンマの99%は中国や台湾などの海外産メンマ。竹の伐採や加工には手間がかかり、輸入品に比べてコストも高いため、ラーメン店などでは安定供給を求めて海外産に頼らざるを得ないのが現状だ。
ネクストステップ研究会は、2012年から四日市市内で里山整備を続けてきた。2021年には四日市メリノール学院の敷地内にある竹林の整備を依頼され、隣接する竹林にも活動を広げた。伐採した竹を有効活用し、活動資金にもつなげようと、メンマの製造・販売を検討。「純国産メンマプロジェクト」からノウハウを学び、商品化にこぎつけた。この活動を通じて、約600kg(約90本)の竹を活用したという。
四日市で作られた醤油とごま油で味付け

調理施設を持たない同法人は、川越町の佃煮製造業者・荒木國一商店に協力を依頼。採取した竹をカットして運び、塩漬けにした後、伊勢蔵のたまり醤油で味付けした「旨めんま」と、九鬼産業のごま油を使ったピリ辛の「肴めんま」が完成した。
昨年、北勢卸売市場(四日市市河原田町)の「いちばの朝市」で試食してもらった際には「美味しい」と大好評を得たという。今年も12月7日(日)午前7時から開かれる「いちばの朝市」で販売する。
土壌改良に活用できる竹炭づくりも
ネクストステップ研究会では、伐採した竹から竹炭も製造している。炭はモバイル炭火器で焼かれ、煙の排出を抑えながら作る。竹は成長過程で光合成によりCO₂を吸収。その竹を炭化して土壌に埋めれば、吸収した炭素を「大気に戻さず固定」できる。竹炭は多孔質構造で水分と空気を整え、微生物を育み土壌を健やかに保つ役割もある。9月には竹炭作りの体験会を開き、同学院高校の生徒が地球温暖化対策の理解を深めた。

竹を活用し資源に変える
四日市市内には、まだ活用されていない竹資源が豊富にある。竹は様々な使い方がある。竹チップを遊歩道に敷き整備したり、コンクリートの鉄筋の代わりに竹を使い、U字溝で使用した試みもある。自然資源を活用した新たな建設手法として注目されている。こうした取り組みは放置竹林の資源化につながる。竹は鉄よりも製造時のCO₂排出が少なく環境負荷が低い。地域の厄介者を資源に変える建材になりうる。

代表理事の寺田卓二さんは「建築資材の企業が竹を建材にしたり、農業に関する企業が土壌改良剤として竹を使うなど、社会貢献事業ではなく、収益を生む事業として竹を活用してもらえたら」と期待を込める。竹林整備には時間や体力、資金も必要となる。「メンマを買ってもらうことや、竹炭を利用することが、竹林整備や循環型社会づくりににつながる」と呼び掛ける。四日市の竹林は、地域の希望と持続可能な暮らしを結び直す力を秘めている。
プラグスマーケットで12月2日までメンマを販売中

ネクストステップ研究会は12月2日(火)まで、近鉄百貨店四日市店のプラグスマーケットで、旨めんまと肴メンマを販売している。各600円。メンマ販売の情報や同時販売の麹の情報は、「みんな大好き四日市市の情報満載WEBマガジン!」https://yokkaichi.city/?p=2714で。








