三重県四日市市の森智広市長と国立大学法人三重大学の伊藤正明学長は12月26日、記者会見を開き、休止していた「四日市キャンパス設置検討会」を再開すると表明した。年明けの早い段階に再開するとしている。学長交代期をにらんだり、四日市の豪雨災害もあったりして休止していたが、国立大学法人の機能強化を求める国の方針が示され、これに応える方向性をつくるうえで、三重大学にとっても検討再開が必要と判断されたという。
「四日市の大学構想には追い風」
森市長は「検討会は休止したが話は続けられており、一定の理解を頂いた。来年の2月定例月議会には新大学の基本設計に関する予算を提出しようと考えている。検討会の再開は大きな意味があり、四日市の大学構想としても追い風になる」などと歓迎する言葉を語った。
伊藤学長は、11月に文部科学省から国立大学法人などの機能強化についてまとめた「国立大学法人等改革基本方針」が発表されたことを挙げ、「大学としての計画の方向性、青写真を国に示す必要性がある」と話した。
この方針では①不確実な社会を切り開く世界最高水準の研究の展開とイノベーションの牽引②変化する社会ニーズに応じた高度専門人材の育成③地域社会を先導する人材の育成と地域産業の振興、の3つの全体的なミッション(使命)を提示しているという。
地域社会を先導する人材育成と地域産業の振興に議論は役立つ
伊藤学長は、このうち③に言及し、四日市がものづくりの町で、しっかりした中小企業が大企業をも支えていること、大学が中小企業を含めて支援していくことを考えた場合、これまで検討してきた四日市からの提案にぴったりかとも思う、などと見解を示し、「検討会を止めておくのはもったいない」とも語った。
伊藤学長はこれまで、学長改選が近く、自らが新学長の考えを縛りたくないとの考えもあって、新大学に対する見解を示さずにきたが、これについても、「学長が交代したら大学の方針もガラリと変わってしまうのは社会の信頼からみていかがか、との意見もある。検討会で議論することとは矛盾しないと考えた」などと説明した。
四日市キャンパス設置検討会では、2024年10月、四日市の新大学には1学年100人程度とする三重大学の学生の規模の方向性も示された。しかし、その後、大学施設設置にかかるハード面の整備期間が見込みより長くなり、開学時期が遅れる見通しになったこと、さらに、今年9月の豪雨災害の復旧にまずは全力を尽くす必要があるとの四日市市側の都合もあって、検討会は休止が続いていた。









