たった一人の愛娘・笑舞(えま)ちゃんを小児がんのため5歳で亡くした向井潤さん(47)、安由美さん(46)夫妻が、小児がんへの理解と支援の輪を広げようと活動を続けている。イベント参加や情報発信を通じ、病と向き合う子どもや家族の現状を伝えている。

2022年、4歳になったばかりの笑舞ちゃんは、三重大学医学部附属病院で小児がんの一種「神経芽腫」と診断された。乳幼児に発生する未熟な神経細胞由来の悪性腫瘍だ。突然の告知に、安由美さんは現実を受け止められず、潤さんも声を上げて泣いたという。
抗がん剤治療と副作用 闘病中に家族で過ごした時間
抗がん剤治療が始まり、副作用に苦しみながらも一時帰宅がかなったこともあった。人混みを避けつつ訪れた御在所ロープウエイは、家族にとって大切な思い出の場所となった。

手術後に判明した「再燃」 神経芽腫治療の難しさ
2023年8月、腫瘍の摘出手術を受け、一時退院した。しかしその後、新たな病変が見つかった。転移ではなく、治療後に残ったがんが再び増える「再燃」だった。
再燃は治療が難しいとされる。医師からは進行を遅らせる治療の提案もあったが、両親は前向きな治療を選択した。
自己幹細胞移植と臍帯血移植を行ったものの、副作用は重く、体調は次第に悪化した。潤さんは「自分の選択が笑舞を苦しめたのではないか」と今も自問するという。
2024年3月には肺への転移が確認された。4月、笑舞ちゃんは家族に見守られながら旅立った。
SNSで闘病を発信 小児がんを知ってもらうための取り組み
治療中、潤さんは情報を求めてSNSで闘病の様子を発信した。抗がん剤で髪が抜けた写真に心ない言葉が寄せられることもあったが、「反応があるだけまし」と受け止めた。フォロワーが増えるにつれ、小児がんについて知ってもらうための発信を続けようと考えるようになった。

小児がん治療に欠かせない献血 父がマラソンで訴える理由
小児がんの治療では輸血が欠かせない。献血の大切さを伝えようと考えた潤さんは、笑舞ちゃんが生前利用していた大阪市の「TSURUMIこどもホスピス」への恩返しも胸に、昨年2月の大阪マラソンにチャリティランナーとして参加した。70万円を超える寄付を集め、ホスピスに届けた。

その後も、四日市みなとランフェスティバルなどの大会に、笑舞ちゃんの好きなスーパーマリオの仮装で出場し、「献血へいこう」と書いた布を掲げて走った。沿道の応援に応えながら、小児がんへの理解や献血の重要性を訴えている。

兄が受け継ぐ思い 「かけっこ教室」で伝える小児がんの現実
活動を継続するため、この春にはNPO法人を立ち上げる予定だ。潤さんには前妻との間に、陸上競技のコーチをしている長男の羽汰さん(23)がいる。笑舞ちゃんとは会ったことがないが、亡き妹への思いは強く、今月開かれた啓発イベントではレモネードの売り子を務めた。
小児がんが判明する前、笑舞ちゃんが保育園の運動会で走れずに歩いてゴールしたことがあり、後になって足に転移し痛みを抱えていたと分かった。羽汰さんはその話と自身の競技経験を胸に、父と設立するNPOで「かけっこ教室」を開き、小児がんへの理解を広げる予定だ。面識はなくても、亡き妹への思いを胸に活動する。
百五銀行生桑支店で小児がん展示開催 闘病記録と基礎情報を紹介
2月19日(木)からは、百五銀行生桑支店(四日市市生桑町)で小児がんに関する展示を行う。笑舞ちゃんの笑顔や闘病の歩み、小児がんの基礎情報をパネルで紹介する。入場無料。潤さんのインスタグラムhttps://www.instagram.com/ema10252018/?hl=ja#でも情報発信している。









