四日市市文化功労者に選ばれた萬古陶芸作家木村元次さん(90)が3月30日、自らの作品「鉄釉壺」を市に寄贈した。木村さんは釉薬の研究を重ねたことで知られ、中でも鉄釉と呼ぶ鉄分を主成分にする釉薬で多彩な色を表現してきたが、その活動の原点になった作品だという。
木村さんはこの日、妻の暁子さんら家族と市役所の森智広市長を訪問し、「鉄釉壺」を寄贈した。市によると、高さ31センチ、直径が最大39センチの作品。鉄釉では茶色、柿色、黒褐色、黒などと釉薬や焼き方によって17種類もの色を表現できたという。今回の作品は、20年以上前に木村さんが鉄釉の研究の最も初期に作り上げたものだといい、「私にとって原点のようなもので、この作品がきっかけになって色が広がった。寄贈するのなら、これしかないのではないかと思いました」と話した。
懇談では、木村さんが、ろくろを使って直径が1メートル近い作品を幾つも作ったこともあると紹介。これを聞き、ろくろの体験がある森市長は木村さんのパワフルさに感心した様子だった。
木村さんは十代後半から伯父の陶苑で働くなど作陶の道へ進み、「大正焼」と呼ぶ大正時代の萬古焼をひとつのルーツとして見出し、釉薬の使い方をいろいろと試しながら、まだ見ぬ色を求めて工夫を重ねてきたという。
松阪市嬉野の旧宇気郷小学校跡に「元昇窯」を設け、制作のほかに陶芸教室を開くなど活動を広げた。日本伝統工芸展、朝日陶芸展、日本陶芸展など名だたるコンクールで受賞を重ねたほか、四日市市でも市美術展覧会の審査員を長く務めるなど、文化振興にも力を注ぎ、2025年度の市文化功労者に選ばれた。









