子どもたちに社会福祉士について知ってもらいたいと、三重県社会福祉士会三泗支部がスクールソーシャルワーカーをテーマにした絵本を制作した。全国の小学校や子どもが関わる施設に絵本を寄付したいと考え、その資金を集めるクラウドファンディングを始め、支援を募っている。
社会福祉士は、心身に障害がある人や経済的に困窮した人の相談に応じ、支援につなげる活動をしているが、認知度はまだ十分ではない。三泗支部は、子どもたちに社会福祉士の仕事を分かりやすく紹介しようと、絵本の制作を企画した。

【絵本を手に支援を呼び掛ける社会福祉士の山岸さん】
タイトルは「タナカさんとボクのくつ」。今年3月に完成し、三泗地区の小学校や学童保育所に寄贈した。絵本を求める声も寄せられ、増刷を決め、その資金をクラウドファンディングで募ることにした。
絵本は、父親が離婚後にうつ病になり、仕事に行けなくなったことで経済的に困窮した家の男の子が主人公だ。男の子が不登校になり、社会福祉士の資格を持つスクールソーシャルワーカーが男の子の家を訪問し、公的支援につなげる。絵本を作ったのは現役の社会福祉士で、行政職員、医療ソーシャルワーカー、独立型社会福祉士、スクールソーシャルワーカー、ケアマネジャーの5人。
制作を始めたのは昨年4月で、子どもたちにわかりやすく伝えるため、学校で子どもたちの生活や学習の問題を解決するスクールソーシャルワーカーを題材に選んだ。オリジナルストーリーを考え、絵も自分たちで描いた。フルタイムの仕事が終わってから集まり、議論を重ね、夜遅くまで作業した。絵本の中の教室の床の色や、給食のメニューなどリアリティーにもこだわって絵作りをした。

【菰野町での絵本の贈呈式】
メンバーの山岸幸さんによると、福祉は自分とは違う高齢者や障害者のためにあると思い込み、大変な状況になっても、「もっと自分が頑張らないと」と助けを求められない人が多いという。「助けて」と声をあげることで、支援につながることもあるそうだ。山岸さんは「子どもだけでなく、一人でも多くの人に絵本を読んでもらいたい」と話す。

【絵本の1ページ目 さりげなく大入道のポスターも描いた】
クラウドファンディングの支援は専用のサイト(https://camp-fire.jp/projects/842883/view)で受け付ける。締め切りは7月31日(木)で、集まった資金で新たに絵本を印刷して、10月中旬を目標に各地の小学校や子どもが関わる施設や団体に贈る。

【絵本の最後のページ】