三重県四日市市で150年の歴史を持つ酒蔵で、ウマ娘やキングダムとのコラボで注目を集める「丸彦酒造」は12月5日(金)から、特撮怪獣映画「ゴジラ」とコラボした日本酒の一般販売を開始する。伝統と挑戦が交差する酒造りは、若い世代やファンと日本酒を結びつける。
丸彦酒造は、豊かな自然と湧き水に恵まれた同市川島町で、伝統的な酒造技術を生かした酒造りを続けてきた。全国新酒鑑評会では、看板商品「三重の寒梅」で幾度も金賞を受賞している。

伝統×キャラコラボ、四日市から全国へ
「ゴジラ 激闘の軌跡 純米大吟醸」は、ゴジラ公開70周年を記念したコラボ商品として誕生。ゴジラシリーズには四日市港が登場することから、ゆかりの地の酒蔵とのコラボを東宝が企画した。アニメなどとのコラボ商品の企画販売をする会社から丸彦酒造にオファーがあり、酒造りが始まった。
ゴジラ70周年、“魂を揺さぶる酒”誕生
出来上がった酒は、三重県産米を100%使用した純米大吟醸酒で、芳醇かつすっきりとした味わい。力強いゴジラを彷彿とさせる“魂を揺さぶる酒”に仕上がったという。冷やした方が飲みやすいが、どんな温度でも楽しめる。海鮮料理やチーズ、ナッツとの相性がいいそうだ。一般販売に先立ち公式サイト(丸彦酒造株式会社 / ゴジラ70th 激闘の軌跡 純米大吟醸)では11月から発売している。12月5日からは近鉄百貨店四日市店やゴジラ公式ショップ「ゴジラ・ストア」などで販売を開始する。

30歳社長の挑戦、若者の酒離れに一石
丸彦酒造は現在、7代目の藤原大地さん(30)が代表取締役を務める。日本酒はあまり好きではなかったが、大学時代のゼミの教授に滋賀県の酒蔵を紹介され、そこで飲んだ日本酒の美味しさに感動。「若者の酒離れをなくしたい」と、母の実家である丸彦酒造を継ぐ覚悟を決め、入社した。2021年に先代の祖父が亡くなり、社長に就任した。
ウマ娘ファンが熱狂!「静鈴鹿」の爆発的ヒット
就任後は、伝統を守りながらも、オンラインでの海外販売など新しいことに果敢に挑戦してきた。「三重県内の酒蔵がやっていないことをやりたい」と、ゲームやアニメで人気の「ウマ娘」のキャラクターとコラボした日本酒「ウマ娘 プリティーダービー 静鈴鹿」を昨年秋に製造し、販売を始めた。

キャラクターのモデルとなった競走馬「サイレンススズカ」の馬主が三重県出身の実業家だったことが縁で、オファーがあったのがきっかけ。ウマ娘ファンを中心に爆発的ヒット商品になり、これまで日本酒に興味のなかった人も買い求めた。今年3月には、人気アニメ「キングダム」のキャラクターとコラボした日本酒も発売した。
杜氏40代、伝統と革新を担う世代交代
全国的に高齢化に悩む酒蔵が多いなか、丸彦酒造の「杜氏(とうじ)」は40代。伝統を守りながらも、新しいことに挑戦できた。
日本酒を飲む若い世代は少ないが、藤原さんは「アルコール度数が高いのでゆっくりと飲め、料理や人とのつながりを生む酒だ」と話す。「ゴジラ70周年をお祝いする気持ちで、パッケージにもこだわった。ゴジラファンにも、お酒好きな人にも飲んでもらいたい」と語った。









