「地下駐車場の取得関連議案は2月議会にも」、四日市市が意向、市議会には批判の声

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【ディア四日市との交渉などについて説明する市側=市議会全員協議会】

 三重県四日市市の森智広市長は12月23日の定例記者会見で、浸水被害があった地下駐車場「くすの木パーキング」の管理運営会社が破産手続き開始を申し立てたことに関連し、破産管財人が決まり次第、市が施設を取得する意向を伝えて交渉、「早ければ2月定例議会に取得関連議案を上程したい」との意向を述べた。市側は同日、市議会の全員協議会でもこの方針を説明したが、市議からは「本当に市民は地下駐車場を残すことを望んでいるのか」「法手続きはそんなに簡単ではない」などと批判的な意見が相次いだ。

ディア四日市との買い取り交渉には価格差

 森市長は午前中の定例会見で、市側の想定として、2026年1月下旬に破産手続きの開始決定、破産管財人の選任がされ、その元で会社財産の調査、現金化などが始まるとし、市は破産管財人に施設の買い取りを申し出て、早期の妥結を目指すとした。そのうえで、早ければ、2月議会の会期のうちに取得関連の議案を上程したいとした。

記者会見する森智広市長

 午後の全員協議会では、管理運営会社の「ディア四日市」との3回の買い取りをめざす交渉の内容について詳しい説明があり、市側は、復旧に数十億円が見込まれるため、無償での譲渡を提案したが、ディア四日市側は固定資産評価(8億7000万円)か簿価(5億4000万円)を基準にした検討を求めたことを明らかにし、最初から大きな価格差があったことを説明した。

 2回目の交渉で、地下駐車場施設には県からの借入金の抵当権があるため、市としてこの抹消に必要な金額を必要経費ととらえ、約1憶6500万円であれば買い取り価格としては妥当との考えを伝えたという。しかし、ディア四日市側は市の提案額では結果的に法的整理が必要になると判断し、3回目の交渉で市への売却を断り、法的整理に移行する考えを示したという。

「駐車場として続けることは市民の合意か」

 これらの説明を受け、市議からは「破産管財人による調査などを考えると、市が考えるような速さで物事が進むとは考えにくい」など、法的な手続きにより相当の時間がかかるのではないかとの疑問が語られた。

 また、「早く復旧を進めたいのなら、法的手続きに入られるよりも、簿価でもいいから買っておいて進める方法もあったのではないか」「駐車場を取得して復旧するというが、そもそも駐車場としてこのまま続けることに市民のコンセンサス(合意)は得られているのか。いっそ、巨大な貯水施設として整備する方法もある」「市は自ら取得してと前のめりだが、ほかに担い手を見つけるなど、別の方法もあるのではないか」など、多くの疑問や投げかけられた。

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