浸水被害の274台に一定額支払う考え、1月に関係者説明会、四日市の地下駐車場で国側表明

【記者会見で質問に答える三重河川国道事務所の大吉雄人事務所長(右)=津市島崎町】

 国土交通省中部地方整備局三重河川国道事務所の大吉雄人事務所長は12月24日、大雨で浸水した三重県四日市市の地下駐車場「くすの木パーキング」の被害車両274台を対象に「一定額の支払いをしたい」などの意向を表明した。1月に関係者説明会を開くという。今回の浸水被害で国側が補償面での具体的な方針を語ったのは初めて。

止水板の状況重くみるも、賠償責任があるとは考えない

 同日、津市で開かれた「第6回四日市市地下駐車場施設復旧検討委員会」の最終とりまとめ後に開いた記者会見で発言した。大吉事務所長は、今回の浸水被害について、「過去に例のない短時間、局所的な豪雨だったため、当時の状況から回避は困難だった」などとしたが、国側の車の出入口の止水板の故障が被害の拡大に関与したこと、委員会で専門家から被害者救済の必要性を指摘されていることを総合的に勘案し、「一定額の金銭の支払いを前提にして示談する方向で検討したいと考えている」などと述べた。

 記者からは、金額などに質問があり、大吉事務所長は、対象は被害に遭った274台、金額は説明会までに詰めていくなどとした。「止水板の故障が被害の拡大に関与してしまったことを重くみている」と話したが、集中豪雨の状況や浸水の量などが責任の状況を確定するのは難しいとの立場から、「国の賠償責任があるとは考えていないが、早期救済の必要性もある」との考えで一定額の金銭を支払うなどと説明した。

 また、施設の管理をしていたTFI株式会社は、被害に遭った利用者に不便を強いていることから、「被災された人が近隣の駐車場を使用する場合、優遇することを考えている」との考えを表明した。TFI側は「止水板の故障が放置されたことの重大性を認識しおり、優遇の提示が誠意を示すことと考えている」などと話した。

関係者が出席した記者会見

ディア四日市はバスタ運営主体からは撤退の意向

 記者からは、バスタ整備に伴うあらたな地下駐車場の出入口の工事口から浸水したことの責任を国はどうとらえているかとの質問もあったが、大吉事務所長は「発注者としての指示としては問題ないと考えている」と答えた。

 また、バスタ完成後の運営主体について、現時点でディア四日市は中心的な立場になっているが、今後はどうなるのか、との質問もあり、ディア四日市側が「撤退せざるをえないと思っている」などと答えた。

 記者会見には、国、三重県、四日市市、TFI株式会社、株式会社ディア四日市の関係者が同席した。管理会社からは「専門家による検討が開かれていたこともあり、その結果を待った。遅くなったことは申し訳なく思っている」などの発言もあった。

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