豪雨による浸水被害を出した三重県四日市市の地下駐車場「くすの木パーキング」の調査をしてきた国の「四日市市地下駐車場施設復旧検討委員会」は12月24日、6回目の会議を開き、最終とりまとめを発表した。止水板の自動化、浸水センサーの配備など先進防災技術を活用し、一方、地域住民から冠水、止水板稼働状況の通報をもらえるような連携をつくり、定期的な合同訓練も住民と共に行う地域協働の「次世代型地下駐車場」として再生するよう求めている。
四日市だけでなく全国の地下施設へのガイドライン
会議後の記者会見で、川口淳委員長(三重大学大学院工学研究科教授)は、「地下駐車場は四日市市の中心部では低地にあり、人的被害がなかったことは幸運だった。しかし、274台の車両被害があり、中心市街地の駐車場が使えなくなったことなど、社会的影響は大きかった」などとして、今後は災害訓練など関係者がしっかり連携することが重要との見解を述べた。同時に、今回は全国の地下施設への警鐘にもなったとし、一定のガイドラインとして全国でも参考にしてほしいとの考えを述べた。
この日の会議では、大雨注意報、同警報の発表や、時間雨量50ミリ以上が予測された場合などの状況を踏まえた体制の見直しをし、防災施設の点検結果を国とPFI事業者のホームページで公表するなど、利用者への透明性を図り、確実に点検や補修が実施できるよう検討した。

地域住民とも連携して守れる地下駐車場を
最終とりまとめについては、問題点を洗い出してきた前回までの方向性を具体化する内容で、止水板は自動化、浸水センターや防災情報連携システムの整備などによる技術の活用を求めた。同時に、バスタ四日市や下水道などまちづくりの防災と連携させ、地域住民とも通報や合同訓練で連携できるよう求めた。駐車場利用者には浸水リスクも伝えて行動変容を求めるなど、施設と周りの全体で地下駐車場を守る態勢づくりが必要とした。
末尾には川口委員長、松本委員の専門家の所見
末尾には、川口委員長と、松本幸正委員(名城大学理工学部教授)の専門家による所見を付けた。川口委員長は「国道側車両用出入口の止水板が故障していた事実に鑑みれば、国において適切な代替措置が講じられていれば、浸水影響を一定程度軽減できた可能性も否定できない状況を踏まえ、被害車両への対応については、早期救済等の観点から適切に検討されることが望まれる」と記した。
松本委員は「地下駐車場への浸水対策が実施されたものの。周辺の排水能力が現状のままでかつその処理能力以上の大雨が降った場合には、大量の水の行き場が無くなることになる。その結果、地上の浸水深が相応分上昇することになり、周辺の店舗、家屋あるいは諸施設等への浸水被害が大きくなることが想定される。それを防ぐためには、雨水の排水能力や貯留量を高める下水道施設整備、河川改修あるいはグリーンインフラ整備なども含めた都市全体での防災力向上を図ることが極めて重要」などと記した。
最終とりまとめは、近く、三重河川国道事務所のホームページで公開されるという。









