はしご登り「伝承していきたい」 四日市市消防団

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 四日市市の「消防出初式」では、四日市市消防団に所属する乗り手が、高さ6メートルのはしごを使って技を披露する「はしご登り」にも多くの注目が集まっていた。新型コロナの影響で出初式が無観客、縮小となり、はしご登りは中止になることが決まった。しかし、「四日市のはしご登りを将来につなげていきたい」という思いから、11月上旬から乗り手らの練習が始まっている。披露する機会はなくても、「伝承していきたい」という「はしご登り」への情熱をエネルギーに毎週土曜に四日市北消防署北分署(中村町)で練習に励んでいる。【高さ6メートルのはしごで練習する乗り手と見守る団員=四日市市中村町で】

 はしご登りで乗り手をしている団員から「練習だけでもしたい」という声が挙がり、「はしご登りを継承していくためにも、今、出来ることをして、将来につなげていきたい」と強い思いが四日市市消防本部の事務局に伝えられた。昨年は練習もなく、中止だったが今年は11月から毎週土曜の夜、練習をすることが決まった。

 楠分団の伊藤和希さん(35)は乗り手を7回経験。22年も中止が決まると「2年もはしご登りがないことは残念。各地域の団員さんともコミュニケーションの場になっていました」と話す。練習が決まるとうれしさもあったが「久しぶりに見て、登ると、こんなに高かったのかと感じます」と感触を確かめながら話す。

 羽津分団の櫻木聡さん(34)は「これがないと物足りなさを感じます」とはしごを見つめる。練習では、技の練習をし、登る順番を待つ間も、乗り手同士で動きの確認をするなどし、与えられた時間を無駄にしないよう汗を流す。

 乗り手経験者に加え、新たに「はしご登りをしたい」という「新人乗り手」も練習に参加。先輩の乗り手が、練習用のはしごに登るところから丁寧に指導する。「経験者が伝えることこそ大事です」と話す同市消防団の福田昌則副団長(65)。「ブランクもあり、勘を戻すのも大変な中で、乗り手は自分たちが一生懸命してきたことを次世代に伝えようと頑張っています」と語る。

 マスクの着用など感染対策をしながらの練習。2月中旬ごろまで続く予定で、2月に予定されている「消防はるふぇす」で披露をする可能性もあるが、今後の新型コロナ感染拡大の状況ではどうなるか分からないそうで、「やれることをして、伝承の気持ちを持ってやってほしい」と話す福田副団長。練習の場となっている同分署の練習では、乗り手が技を決めた際の掛け声「はい」と周囲で見守る団員らの「やー、やー」の力強い声が響いていた。