トンボ通じて自然環境などの大切さ伝える 四日市に「トンボ研究所」 松沢孝晋さん

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 トンボ研究家として40年以上活動し、四日市市や名古屋市の環境講座の講師も務める菰野町出身の松沢孝晋さん(63)が、3年前から四日市市桜新町にあった診療所(旧水谷クリニック)を「トンボ研究所」として活用し、活動を展開している。「トンボを通じて、自然環境や生物多様性の大切を伝えたい」と情熱を注ぐ。【標本や自作のトンボ模型を置き、採集時に使用するオリジナルの補虫網を手にする松沢さん=四日市市桜新町】

 大学時代は農学部で昆虫学を学び水田に生息するトンボを研究した。卒業後は建設会社に勤務し、環境アセスメントや自然環境保全等の業務に従事した。大学での研究で得た知識や経験が生き、その後も「トンボ愛」が絶えることはなく、会社勤めの傍ら、沖縄や台湾などの亜熱帯地域、タイやベトナムなどの熱帯地域に採集、調査に出かけた。2019年、「これからはトンボ一本でいこう」と会社を辞め、フリーとなった。

 2020年2月、神奈川県川崎市から四日市市桜新町に引っ越し、「トンボ研究所」を開設。所有する6千もの標本を建物内に運び込んだ。診療所の受付だった部屋に顕微鏡とこれまで採集したトンボ標本を置き、「トンボ同定室」とした。レントゲン室だった部屋には国内外の文献や図鑑類を置き、報文作成などを行う部屋にした。エントランス部にはトンボにちなんだアクセサリーや写真、トンボ柄をデザインした酒なども展示している。

 これからは研究所を拠点に広く国内外に調査を展開しようとした矢先、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を襲った。コロナの影響で遠出が出来なくなり、仕方なく三重県内など近場を中心に調査する方針に切り替えた。四日市市内では川島町の里山、海蔵川や三滝川などの河川での調査を実施した。

 「近場のトンボは本当に面白くて」。地元のトンボたちは、調査経験豊富な松沢さんを魅了した。21年3月から12月にかけては、川島町の里山で81回に及ぶ調査を実施。49種類ものトンボの生息を確認した。確認したトンボは全て、発見場所や日時などを記録した。これらの三重県内での調査の結果は報文として整理し、広く情報共有できるよう論文誌に投稿した。

 「トンボは水辺の環境指標となる昆虫。環境学習でも、子どもたちにそう伝えている。トンボから色んなものが見えてくる。『トンボって面白い』と、ちょっとでもトンボや自然に興味を持ってもらえたら」と松沢さんは話した。