浅田次郎さんの傑作短編時代小説 四日市出身の俳優高川裕也さんが朗読劇に

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【来場を呼び掛ける高川さん=四日市市海山道町】

 浅田次郎さんによる傑作短編時代小説で、2014年に中井貴一さん主演で映画化もされた「柘榴坂の仇討」の朗読劇が2024年1月20(土)、21日(日)に四日市市海山道町の三浜文化会館で上演される。桜田門外の変を題材に、激変する時代の流れに翻弄される者たちを描いた濃密な人間ドラマの朗読劇。同市出身の俳優で「カンブリア宮殿」等のテレビ番組のナレーターとしても活躍している高川裕也さん(61)が挑む。

 以前から時代劇のリーディングをしてみたかったという高川さんは、「読み応えがあると同時に、聞き応えのある物語を探していて、浅田次郎さんの作品にたどり着きました。聞いていてリズムが感じられ、説明的な文でなく、登場人物にアクションしている言葉が多い。どんどん引き込まれていく文章」と作品の魅力を語る。主君・井伊直弼を討たれ、以後13年間、敵を探し続ける男と、逃亡し身を隠した水戸浪士。「仇討ち禁止令」が布告されたその日に、因縁の2人は出会う――。

 高川さんといえば,自身が監督脚本主演を務め、四日市市内でもロケが行われた映画「GINAGINA」(2022)が記憶に新しい。終息の気配のないコロナ禍中、自主映画制作に着手した還暦前の俳優が、アクシデントに見舞われながらも葛藤し、足を踏み出していく物語。名古屋、東京での上映会を経て2023年2月に市文化会館で凱旋上映を果たした。「自身を投影したGINAGINAの主人公の葛藤も、発展してきた日本という国がコロナで足止めされた現実世界のあり様も、明治維新前後でガラリと変わった時代を乗り越えようともがく旧武士の思いに多少なりとも被るところがある。現実に折り合いをつけて、自分がどう変わっていけるのか、時間が捻じ曲がるかのようにキャラクターの意識が変わる瞬間、人生の機微、心の襞を表現したい」と語る。

 20日は午後2時からと同6時から、21日は午後2時からの全3公演。会場は三浜文化会館創作スペースで、入場料は1000円。全席自由。定員は各回50人。チケットは、12月23日(土)から四日市市文化会館と三浜文化会館窓口で販売開始。問い合わせは、市文化会館TEL059・354・4501へ。ホームページ(https://mihama-culture.com/news/1825/)へ。