パリ五輪出場目前 四日市ジュニア出身 7人制ラグビー日本代表 水谷咲良選手(20)

1305

【昨年12月の「HSBC SVNS 2024ケープタウン大会 スペイン戦」で、迫力のプレーを見せる水谷選手=日本ラグビーフットボール大会提供】

  五輪出場の夢は絶対に叶えるーー。四日市メリノール学院高校の卒業生、水谷咲良選手(20)は、ラグビー7人制女子日本代表「サクラセブンズ」のメンバー。日本のパリ五輪出場が決まり、スターティングメンバーでの出場を目指す。14歳で単身ラグビー留学し挑み続けた夢を掴むまで、あと一歩だ。

夢を夢で終わらせない

 3歳からレスリングを始め全国優勝を経験。母の勤務先のラグビー部の監督に誘われ、小学4年生の時、四日市ジュニアフットボールクラブでラグビーを始めた。芝の上を走りまわり、タックルの楽しさを感じ、四日市市立橋北中学1年の時女子ラグビーチーム「PEARLS(パールズ)」のジュニアチームに所属。レスリングと両立していたが、2年生だった2017年「ラグビーで五輪に出たい」と、単身ニュージーランドのハミルトンガールズハイスクールに留学した。

 言葉も文化も違う国で最初は毎日泣き、母に帰りたいと電話。「それなら帰ってくる?」という母の言葉に意地を見せ、踏ん張った。半年ほどで会話ができるようになり、ニュージーランドの高校生の全国優勝も経験。2020年コロナ禍で休校になり帰国し、再入国できず同学院高校2年に編入。3年生の時、2度日本代表の合宿に参加し、卒業後、クラブチームの東京山九フェニックスに入団した。

タックルとランを武器に

 身長は日本代表選手の平均に近い166センチだが、フォワードとして、激しいタックルとスピードのあるランが武器。逞しさを感じるが、親しみやすい笑顔が魅力。体の強みを生かしボールを前に運び、試合の流れを引き寄せるプレーだ。

 フェニックス入団直後、サクラセブンズのメンバーとして出場したカナダで開かれた国際大会がデビュー戦となった。「これは通過点で、目標は五輪」と受け止めた。9月南アフリカで開かれたワールドカップにも出場したが、数分間しか出場できず悔しさが募った。それを糧にスキルアップを図り、翌年5月フランスで行われた国際大会ではほぼフル出場することができた。

メンバー落ちから奮起

 帰国後の7月試合中に脳しんとうを起こし、9月には筋膜炎でアジア競技大会のメンバーから外れた。そのショックは大きく「心身共にリセットしよう」と実家に戻った。美容にも力を入れていたが「五輪に出るには中途半端な思いでは無理」と、髪を切りまつエクも止めた。10月のタイ遠征で復帰し、スターティングメンバーで出場。11月のパリ五輪アジア予選でも全試合に出場し優勝。日本が五輪出場権を獲得したが、故障などでスキルが落ちたり、他の選手が台頭すれば代表から外れることもある。「小さい頃からずっと、ラグビーで五輪に出場することだけを見据えて続けてきた」と、夢を夢で終わらせない力強さがみなぎっている。

サクラセブンズのユニフォームを着て微笑む水谷選手。母校・四日市メリノール学院のグラウンドで