海岸保全施設の整備や新しいひき船建造などに事業費、四日市港管理組合が当初予算案を発表

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【岸壁の整備や港湾計画の改訂作業などが当初予算案に盛り込まれた四日市港=四日市港管理組合提供】

 四日市港管理組合は3月21日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は64憶238万5000円(前年比8.2%減)。国の経済対策分の配分が昨年11月にあったため、実質的には96億2038万5000円(20.8%増)に相当するという。港湾整備事業特別会計は32億5092万5000円(33.6%減)。港湾施設改修費の減少などが理由という。

一般会計では、2024年度当初予算に要求していた霞ヶ浦地区北埠頭81号耐震強化岸壁整備への国直轄事業負担金と国補公共事業の一部について、2023年11月に国の経済対策分の配分があったことから、あらためて2024年度の所要見込み額を精査した結果、公共事業が6億4817万余円減少するなどしたことが理由という。

 特別会計は、霞ヶ浦地区北埠頭81号耐震強化岸壁背後の護岸築造がおおむね完了したことから、港湾施設改修費が16億5960万円減少することになったことが対前年比減のおもな理由という。

当初予算案を発表する四日市港管理組合

 主な事業では、石原・塩浜地区海岸保全施設整備事業があり、国の直轄事業による2024年度からの整備を国に要望中で、国の決定を待っているという。今回の当初予算案には、管理組合の負担金ベースでの想定見込み額1億円を計上した。四日市港の海岸保全施設は伊勢湾台風後に整備され、約60年が経過しているため、耐震性の不足により、南海トラフ地震の発生時には甚大な浸水被害が懸念されるという。特に、石原・塩浜地区の海岸保全施設は、周辺に危険物を扱うパイプラインが敷設されているため、高度な施工技術を要するという。

 四日市港霞ヶ浦地区国際物流ターミナル整備事業も国の決定を待っているが、見込み額で国直轄事業9億300万円、管理組合事業7億5000万円を予算額としている。東南アジア航路などのコンテナ船の大型化に対応する水深14メートルの岸壁整備による背後圏産業の国際競争力を維持、強化し、完成自動車などの増加が見込まれる貨物取扱量に対応するコンテナ機能の集約化による物流の効率化などを進めるという。

 四日市港港湾計画の改訂も行う。1億7355万円を予算額とした。四日市港長期構想の策定(2009年8月)、四日市港港湾計画の改訂(2011年4月)から10年以上が経過し、あらたな課題の2050年カーボンニュートラル実現など、社会経済情勢が大きく変化したため、2023年度に新しい四日市港長期構想の策定、四日市港港湾脱炭素化推進計画を作成しており、これらを踏まえて、おおむね10~15年後を目標年次とする四日市港港湾計画の改訂に入るという。

 四日市港に入港するタンカーやコンテナ船など大型船の離着岸を補助する「ひき船」の「ちとせ丸」が建造から21年が経過し、維持コストが増えているため、2024年度~2025年度に新しい船を建造する。2026年3月竣工予定で、2億7280万円を予算額とした。使用燃料に植物油由来の使用済み食用油などを原料とする「バイオディーゼル燃料」を追加し、照明設備をLEDにするなどで、温室効果ガスの低減にもつながるようにするという。

 管理組合の組織体制では、2024年度から、ひき船運航サービスを管理組合直轄から外部委託し、より効率的で効果的なサービスを提供するため、港営課の千歳担当を廃止する。外部委託先との連絡、調整は、港営課が行う。