「難病と向き合う」医療や生活の情報を交換、全国膠原病友の会三重県支部

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【日焼け止めクリームの適切な利用法などを講師から習う会員たち=三重県津庁舎】

 膠原病は、ひとつの病気の名前ではなく、全身に炎症が起こる免疫異常疾患の総称だ。医師によっては正しい診断ができず、幾つもの医療機関を通い歩く患者もいるという。全国膠原病友の会三重県支部は、医師との幸運な出会いで病気のことを知った患者たちが、自らの治療や生活の質を高めるための情報を交換しあい、まだこの病気を知らない人のための相談窓口を開いている。

〇生活の質を保つ知識など学び合う

 県津庁舎にある県難病相談支援センターで6月23日、四日市市を含む県支部の会員10人余が集まり、1年の活動方針などを決める総会を開いた。総会後は昼食を囲んでの交流会や、適切な日焼け止めを習うセミナーを開いた。膠原病の患者の多くにとって紫外線は要注意だ。資生堂ジャパンの講師は日焼け止めクリームの使い方だけでなく、血行をよくし、ストレスをなくすマッサージも指導。参加者の多くが女性で、美容と健康に役立つひとときを楽しく過ごした。

 かつては、身体の細胞や組織を接合させる物質の異常ととらえ、その物質「コラーゲン」の日本語読みから膠原病の名がついたという。最近の医学では、自己免疫の暴走など、原因はさらに深いところにあることが分かっている。

 自分の細胞を攻撃する抗体ができ、臓器に炎症を引き起こすとされる全身性エリテマトーデス、皮膚や内臓などが硬くなる強皮症、筋肉に炎症が起こることで力が入らなかったり痛みが出たりする皮膚筋炎など、膠原病には多くの病状があるという。

〇知識のある医師との出会いが何より大切

 支部長の遠藤喜善さん(75)は8年ほど前、健康診断で肺に所見があるとされ、間質性肺炎ではないかと、松阪市立病院の呼吸器科を薦められた。診察に行くと、医師が指を見て、「膠原病かも知れない」と指摘。入院して検査をし、皮膚筋炎と分かったという。

機関誌の編集作業をする支部長の遠藤喜善さん

 「幸い、私は自覚症状が全くない状況で診断がついた。先生に膠原病の知識があったからこそで、その後の症状も落ち着いている。医師との出会いは重要です」とふりかえる。支部のリーフレット(2023年作成)には、「友の会に関わってくださる先生」として、三重大学付属病院リウマチ・膠原病センター、同皮膚科、桑名市総合医療センター、佐藤内科(桑名市)、市立四日市病院、四日市主体会病院、三重膠原病リウマチ痛風クリニック内科(鈴鹿市)、せと整形外科(同)、岡田皮膚科(名張市)、[社団]寺田病院(同)、坂元皮フ科(伊賀市)、国立病院機構三重病院(津市)、三重つくし診療所(同)、済生会松阪総合病院、嬉野医院(松阪市)、伊勢赤十字病院、はまぐち内科クリニック(伊勢市)、西岡記念セントラルクリニック(志摩市)、西久保内科クリニック(御浜町)の医師名が並んでいる。

〇ほかでは得られない体験に基づく情報が役立つ

 県支部には現在、約50人の会員がいる。診断の難しさを考えると、県内の患者数は潜在を含め2000人を超えるのではないかとの見方もあるらしい。友の会は、会員の交流会を北勢、中勢など地区ごとに開き、疾患別の相談会を難病相談支援センターで開催。医師ら専門家を招いた勉強会なども開いている。季刊の機関誌「かけ橋」は会員の情報交換に役立っている。会員は「医師との付き合い方など、ここでしか聞けない話が役立っている。実際に診察してもらった人から聞く医師の話なので、一番信用できる」と話す。

 友の会の連絡先は難病相談支援センター(059-223-5035)へ。医療だけでなく、ふだん、周囲の人に理解されない悩みを語り合うこともでき、気分的に明るくなるなど効果は大きい。

(三重県難病相談支援センターの疾患別相談予定)

 9日 乾癬▽11日 マルファン症候群▽16日 脊髄小脳変性症、多系統萎縮症▽18日 間脳下垂体疾患▽23日  慢性腎不全▽25日 稀少難病▽30日 潰瘍性大腸炎、クローン病(10時~16時、電話番号 059-223-5063、相談は無料。面接相談は予約制)