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  4. 「死は自然なもの」看護師・藤島ちさとさんが伝えるグリーフケア

「死は自然なもの」看護師・藤島ちさとさんが伝えるグリーフケア

2026 3/24
ニュース 総合
2026年3月24日
藤島さんと妹の森川さんと藤島さんの孫が焼き鳥屋で笑顔で写真を撮っている
【看護師の藤島さん(左)と亡くなった妹の森川尚美さん】

 訪問看護の現場で、残された時間を「その人らしく、穏やかに」過ごせるよう支えてきた三重県四日市市の看護師、藤島ちさとさん(60)。死を悲しみだけで捉えるのではなく、自然な営みとして受け止め、喪失に備えながら今を深く生きることを伝える「グリーフケア」の講座を開いている。

講演会で参加者の前に立つ藤島さん
講演会で参加者の前に立つ藤島さん

 幼いころから体が弱く、両親も入退院を繰り返していたという藤島さんは、その経験から看護師の道へ進み、訪問看護の現場に携わってきた。自宅で最期を迎える人に寄り添う中で、家族の関係が修復される場面にも数多く立ち会ってきた。

訪問看護の現場で見た最期の時間

 長く絶縁状態にあった父娘が、父親の「今まで悪かった」との最期の言葉で和解したこともあった。女手一つで子どもを育て上げた女性が余命を知り、子どもや高齢の親のためにやり残したことを一つずつ成し遂げ、穏やかに旅立った姿も印象に残っているという。藤島さんは、死は悲しみだけでなく、感謝や愛情を伝える人生の集大成でもあると感じるようになった。

妹が教えてくれたこと

 その思いをさらに深めたのが、妹の森川尚美さんの闘病だった。40歳で大腸がんを患い、実家で療養する妹と「やりたいことリスト」を作り、一つずつ実現していった。藤島さんの孫と遊ぶ、紅葉を見に行く、家族で食事に出かける――。尚美さんの笑顔は、病気になる前よりも輝いていた。かつて疎遠だった期間を取り戻すかのように、家族の絆を深めていった。

焼き鳥屋で食事をする藤島さんとその家族と森川さん
焼き鳥屋で食事をする藤島さんとその家族と尚美さん

 「今が幸せ。もう十分時間をもらった」。そう語った尚美さんは、2022年、49歳で静かに生涯を終えた。

犬を抱く妹の森川さん
亡くなる前の尚美さん

 妹やこれまで出会った患者、その家族たちとの関わりの中で、藤島さんは「死は特別なことではなく、自然なこと」と実感するようになったという。大切な人を失う悲しみに寄り添うため、妹の死後にグリーフケア心理カウンセラー講座の講師資格を取得。現在は看護学校の非常勤講師も務める。

喪失を抱えた人に寄り添うこと

 喪失は死別に限らない。子どもの自立や結婚、ペットとの別れ、転職、失恋など、人生の節目で深い喪失感を抱くことは誰にでもある。藤島さんは、「無理に乗り越えようとしなくてもいい。悲しみを抱えたままの自分を受け入れてあげること」がグリーフケアの第一歩だと語る。

 周囲の人が悲しみに沈んでいるとき、「何とかしてあげよう、励ましてあげようという思いを手放して。ただそばにいることが大切」と藤島さんは話す。苦しみに耳を傾け、一緒に時間を過ごす。それだけで十分な支えになるという。

「これでよかった」と思えるために

 看取りの現場で向き合ってきた時間の中で、藤島さんはグリーフケアは、生きているときから始まっている、と感じてきた。「亡くなる人との関わりを思い出せる『いま』を重ねることが、のちのグリーフ(悲嘆)を和らげる」と語った。

 「もっとできたはず」と後悔が残ることもある。それでも、その時の自分にできる最善を尽くしていたと認めることが、やがて亡くなった人の人生の肯定につながっていく――。

 「自分の人生に目を向け、与えられた時間を精いっぱい生きてほしい」。昨年出版した著書「わたしの人生なかなかよかったね」にも、その思いを込めた。

本を手にして微笑む藤島さん
本を手に微笑む藤島さん

広がるグリーフケアの輪

 藤島さんは3月21日、四日市市内で開かれた講演会の講師に招かれた。参加者の一人は「今まで蓋をしていた気持ちに気づいた。自分の人生について考えられてよかった」と語った。藤島さんは公式LINE(https://lin.ee/r3OqcN8)で個別相談も受け付けている。悲しみとともに生きる人に寄り添いながら、グリーフケアを伝えている。

ニュース 総合
看護師 グリーフケア 訪問看護 大腸がん
藤島さんと妹の森川さんと藤島さんの孫が焼き鳥屋で笑顔で写真を撮っている

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