「母子避難の際に受けた恩を今こそ」 ハンガリーでウクライナ支援 鈴木久美さん

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 恩のバトンリレーがしたいーー。東日本大震災での原発事故による放射能汚染のホットスポットから逃れるため、四日市市に母子避難していた鈴木久美さん(53)は、7年前に夫の故郷であるンガリーに移住。隣国ウクライナから、ロシアの軍事侵攻で、逃れて来た人を支えるため、クラウドファンディングで支援を募っている。【集まった物資と鈴木さんら(提供写真)】

 「母子避難の際に受けた恩を今こそ」、鈴木さんが支援を思ったのは、四日市で感じた多くの人からの支援への恩がきっかけ。福島県いわき市出身の鈴木さんは、東日本大震災発生時は千葉県で夫と2人の娘と生活。放射能汚染を恐れ、母子で千葉を離れる決意をしたが、公的支援が受けられず、すべて自己負担での避難だった。

 民間ボランティアの紹介で企業が住宅と働く場を提供。二重生活で出費がかさむため鈴木さんが働くようになると、近所の人や母子支援団体のスタッフや子どもの幼稚園が娘たちをサポートしてくれた。「四日市の人の支援があり孤立することなく生活ができた」という。ハンガリーに移住しても、四日市の人とのつながりは続いた。

 今年2月、ロシアの軍事侵攻が始まり、ウクライナからハンガリーに4月末までに60万人近い難民が到着。ブダペストの駅にキーフからの電車が到着すると、着の身着のままで降りてくる。その様子を目の当たりにし、戦禍をくぐり抜け逃げる恐怖やこれからの生活への不安など、自分のことのように感じた。

 ハンガリーは主に民間による支援団体が中心になって活動しているが、住宅が不足している。鈴木さんは食料、生活物資と住居の提供を予定。住宅を提供する難民には、鈴木さんらが家電家具ボイラー代などを負担する。クラウドファンディングでの資金は、保存食などの食料や紙おむつなどの日用品の購入に充てる予定。現在は自費と知人の寄付金で物資提供している。現地の団体に必要な物資を確認し、現地調達する。「そのための資金調達に協力してほしい」と寄付を呼び掛けている。クラウドファンディングは(https://readyfor.jp/projects/90936)、または下記の二次元バーコードから参加できる。支援募集は6月9日(木)午後11時までで、目標額は100万円。5月4日現在で24万3千円の支援が集まっている。