工房の雰囲気伝える、ばんこの里会館で「萬古 工場と道具」展が開催中

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 三重県四日市市の「ばんこの里会館」で、「萬古 工場と道具」展が開催中だ。四日市を代表する地場産業の萬古焼だが、工場で使われている道具類は間近ではなかなか見られないもの。今回初めて、実際の仕事場で使われている道具類を窯元から借りて、工程ごとに分けて展示したという。7月9日まで、入場無料。【実際の道具が間近に見られる展示=四日市市陶栄町】

 主催する萬古陶磁器振興協同組合連合会によると、ロクロ、水ごて、ローラーマシンなど、普段は目にしないが、現在の萬古焼業界に欠かせない機械や道具を集めたという。製造の現場に焦点を当てた展示は初の試みといい、萬古焼ができるまでの過程や工場・工房の雰囲気を知って、身近に感じてほしいという。

 展示されている「ガバ鋳込み成形」は、複雑な形状の陶磁器をつくる時に、「割型」に土を流し込み、型が水分を吸って土が徐々に固まり、最後に余分な水分を「ガバッ」と捨てるとカップや皿などの形が現れる。(「ガバ鋳込み成形」)

 「さや鉢」は、陶磁器を「サヤ」に入れて高温の窯の熱から守りながら、じっくりと時間をかけて焼成するという。このほか、「水ゴテ」と呼ばれる鉄製のコテと石こう型を用いる「水ゴテロクロ成形」の道具、多くの人になじみのある「ロクロ成形」の道具が展示されている。(「さや鉢」と「水ゴテロクロ成形」)

 一般の入場はもちろん、小中学生の社会見学にも利用されるそうで、新型コロナの感染拡大期に減った観光客の立ち寄りも徐々に戻ってきているという。会館では今後、ロクロ成形の道具のところで記念写真が撮れるような工夫もしていきたいと考えている。

 

 

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