観劇が一層楽しくなる戯曲講座 参加者全員であらすじのアイデア活発に

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【どんどんアイデアが出たワークショップの様子=四日市市海山道町】

 四日市市三浜文化会館で6月22日、劇作家・演出家の田辺剛さん(49)を招いた戯曲講座(ワークショップ・短編・長編)が開かれた。ワークショップには観劇未経験者から執筆経験者まで12人が参加し、戯曲の成り立ちや構造への理解を深めた。執筆経験者向きの長編講座に参加した3人は、あらかじめ提出していた自分の作品にアドバイスを受け、全4回の講座を通してブラッシュアップに取り組んでいく。

 四日市市文化まちづくり財団主催で、実演芸術やアートマネージメントに携わる人材の育成を目指す「舞台創造ゼミ」事業の一環。京都の劇団「下鴨車窓」を主宰し、近年では戯曲執筆講座の講師を数多く務める田辺さん。「あらすじを考えてみる」がテーマの初回ワークショップでは、まず「戯曲とは読み物としての文学作品。上演するに当たって演劇の稽古場に来ると台本となる」と説明し、「戯曲には何が必要か」を参加者全員で洗い出し整理した上で、「あらすじを考えてみる」に挑戦。参加者は順番に指名され、協同して物語の設定を膨らませる作業に没頭した。

 SNSで会話劇を発表したことがあるという根本知子さんは、前の人から回ってきた「人通りの多い通りにある個人経営の喫茶店」という設定に「昭和15年の」という時代を付け加えた。「どんな風に答えようかドキドキした。自分が放った言葉を次の人が拾ってつなげてくれるのがおもしろかった」と感想を話した。

 初回の全講座を終えた田辺さんは、「アイデア豊富な老若男女、色々な人が参加してくれてテンポよく活発に進んだ。本来劇作家の作業は孤独なもので発想が偏りがちだが、複数の人の意見を採り入れ様々な角度から見て物語を掘り下げていくという経験をしていただければ」と語った他、「戯曲制作のプロセスを知ることで、観劇時に舞台の隠し味のような意図に気付いたり、違いがわかるようになると、これまで以上に芝居が楽しめる。興味ある人はぜひ次回のワークショップに参加を」と呼び掛けた。

 短編と長編講座の申し込みはすでに締め切っているが、7月20日(土)に開く次回ワークショップ「台本を考えてみる」は、開催当日まで受付。対象は15歳以上。詳細は、公式ホームページ(https://yonbun.com/news/21618.html)へ。