新図書館はどこへ? どう進める? 市民グループや市議会会派に考え聞く

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【再編の工事が本格化してきた中央通り。この市街地のどこに次の候補地を見つかるか】

 近鉄四日市駅前の旧スターアイランド跡地に新図書館が入るビルを建てる計画が白紙になって1カ月余りが過ぎた。新図書館は、今後、どこに建てようとするのか、どのように決めていけばいいのか。図書館にかかわってきた市民グループや市議会各会派の代表者に聞いてみた。

 5月24日に計画断念を表明した森智広市長は、新しい候補地を「近鉄四日市駅からJR四日市駅までの中心市街地エリア」に求め、市単独での建設とすること、開館時期もこれまでの2028年度から大きく遅れないことを挙げている。

〇落胆はあるものの、「しっかりした議論を」

 「建設発表は目前だと思っていただけに、落胆の気持ちは大きかった」と話すのは、2017年から新図書館の運営方法などに要望を出してきた「新しい図書館を考える四日市市民の会」の小野孝代表。「図書館を、にぎわい創出の施設にしようとした考えが正しかったのかどうか。次の候補地が早く見つかるのは理想だが、四日市の図書館がどうあるべきか、しっかり議論してほしい」と話す。

 市民の声が反映された図書館の実現をと、2018年から幾つかのグループが集って活動してきた「ライブラリーフレンズ四日市」。日下由紀子代表は「今だからこそ、行政だけでなく、市民、専門家も同じテーブルに着いた議論で、オープンな形で進めてほしい」と話している。

〇市議会各会派の中でもさまざまな考え方

 市議会を歩くと、JR四日市駅前に誘致する新大学で必要になる図書館と一緒に考える、市役所の近く、近鉄四日市駅西の「じばさん」の位置など、新候補地にはいろんな声が聞こえてくる。会派の代表者に今後の考え方を聞くと、方向性は一致しても、具体的な場所となると、会派の中でも様々な考えがあるという。

 「フューチャー四日市(7人)」の樋口龍馬さんは「図書館はあるべき。それは、四日市の発展とリンクしないといけない」と話す。すでに再開発が動き始めている中心市街地で新候補地を探すことも妥当との考えだ。

 「新風創志会(7人)」の平野貴之さんは「立地は中心市街地。これまでの検討や、コンパクトシティーに向けての街づくりもある。時間はかけてもいいと思う」。

 「公明党(5人)」の荒木美幸さんは「長い検討や、市民も巻き込んできた経緯から、それらが無駄にならないよう、できるだけ早く次の候補地を見つけるべきだ」と話す。図書館だけではない複合施設としての実現を望むという。

 事業費などをめぐり、度々、市に厳しい注文をしてきた「政友クラブ(9人)」の川村幸康さんは、「こうなったら、中心市街地に限らず、もう少し広い範囲で考えてもいいのではないか」と話す。図書館に、にぎわいづくりを結び付け、二兎を追う形がこの結果につながったとも考えており、「あわてず、30万市民が必要とするものをつくればいい」。

 「市民目線の会(3人)」の小林博次さんは「図書館は必要。場所は、現図書館の建て替えもあり、旧スターアイランド跡地を買収して市が単独で建てるのもあり」と、やはり、やや広めに考えている。「どんな図書館が必要なのかを、はっきりさせて進めることが大切だ」と話す。

 「無会派(日本共産党、2人)」の太田紀子さんは「にぎわいづくりを一緒にしてしまったことがおかしく、繁華街のあの場所はふさわしくないと考えていた。市民が楽しみにする図書館は必要だが、あわてずに、市民の声を聞き、四日市にふさわしい施設にすべき」と話す。

 「無会派(1人)」の今村厚美さんは「急いで決めなくていい。現図書館の建物は古くなったとはいえ、まだ耐用年数はある。障害者にも行きやすい、誰もが使える図書館にしてほしい」と話した。