湯の山温泉の貸切風呂が茶室に 四商生がかぶせ茶の体験イベントでおもてなし

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浴室を茶室に見立てたお茶会でおもてなしをする高校生と参加者
【茶室に見立てた浴室で抹茶を振る舞う四日市商業高校の生徒】

 三重県立四日市商業高校の3年生が7月12日、湯の山温泉の鹿の湯ホテルで温泉とかぶせ茶を組み合わせた体験型イベントを企画・実践した。地域資源を生かした新しい観光の可能性を探る試みで、生徒にとって学校では得られない実践的な学びとなった。秋にも同様のイベントを予定している。

参加者を案内する生徒
参加者を案内する生徒

地域資源を生かす「観光ビジネス」授業

 同校3年生が取り組む課題研究「観光ビジネス」では、地域の観光資源や特産品を生かした商品や企画を考案している。昨年度は、地元の特産品であるかぶせ茶の新しいブレンドを開発。今年度は、湯の山温泉のインバウンド需要を見据え、かぶせ茶を使った体験型企画に挑戦した。

おもてなしをした10人の生徒
おもてなしをした10人の生徒

 着想のもとになったのは、室町時代に行われていたとされる「淋汗茶湯(りんかんちゃとう)」。入浴後にお茶や食事でもてなす文化で、生徒たちはそれを現代風にアレンジした。

ホテル・茶農家・和菓子店と連携

 企画にあたり、鹿の湯ホテル、かぶせ茶生産者のマルシゲ清水製茶、和菓子店の岩嶋屋に協力を依頼。担当グループを作り、準備を進めた。

 ホテルの貸切風呂を茶室に見立て、湯舟で手湯をした後、抹茶と和菓子でもてなし、脱衣所ではかぶせ茶の利き茶クイズを行い、そのまま入浴へ進む流れを考案。抹茶に添える練り切りのデザインを考え、土産用のかぶせ茶カステラも岩嶋屋に依頼した。原価計算や利益計画も立てた。

生徒の考案でできた団扇をモチーフにした練り切りと生徒が点てた茶
団扇の練り切りと生徒が点てた抹茶

 空間演出にもこだわり、和紙に手書きで学校名を入れた暖簾を作り、天井には風鈴を飾り付けた。

脱衣室につるされた風鈴奥には浴室が見える
脱衣所につるされた風鈴

 華道部から生け花の指導を受けて自分たちで花を生け、BGMにはギターやマンドリンの音色を使った。茶道部、ギターマンドリン部、書道が得意な生徒など、メンバーの特技が次々とアイデアにつながったという。「四商生の力でもてなしたい」という思いが形になった。

参加者を見送る生徒

高校生の成長を支えた地域の大人

 ホテルとの打ち合わせを担当した長濵水香さんは、鹿の湯ホテルの女将・伊藤寿美子さんに電話で連絡した。学校外の大人と話すことに慣れておらず、事前にセリフを考えて台本を作ったほど。緊張で震えながら電話をかけたが、伊藤さんが優しく耳を傾けてくれたという。

 伊藤さんは「斬新な発想に驚いたが、利き茶体験はホテルでも取り入れたい。いいアイデアをもらった」と話した。

フロントの立つ卒業生の清水さん
フロントに立つ卒業生の清水さん

 また、ホテルのフロント業務をしている清水瑠心さんは、マルシゲ清水製茶を営む両親のもとで育ち、同校の卒業生でもある。2年前に「観光ビジネス」を履修しており、「在学中の学びが、現在の接客業に役立っている」と後輩にエールを送った。

教室では得られない「生きた学び」

 佐藤智子教諭は「地域の皆さんにご協力いただき、教室ではできない生きた学びができ、ありがたい」と話す。長濵さんは「大人との交渉や、どうやったらおもてなしができるのか考える経験ができ、ビジネスマナーが身についた。社会に出て役立てたい」と笑顔を見せた。

 湯の山温泉とかぶせ茶という地域資源を、高校生の発想と行動力で新しい体験へとつなげた今回の取り組み。秋のイベントでは、さらに磨かれた「四商生のおもてなし」が披露される予定だ。

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