少子化や私立高校授業料の実質無償化の影響で、三重県四日市市内の県立高校では今年度、定員割れが広がった。来年度は四日市南高校と四日市四郷高校で1クラス減となるなど、生徒数の減少が進んでいる。各校には、進路支援や特色ある教育をどう充実させるかが求められている。
こうした中、四日市西高校は鈴鹿医療科学大学との高大連携や、こども園・子育て支援施設での保育実習を通じ、生徒の学びの幅を広げる取り組みを進めている。

今年度の県立高校後期選抜では、四日市西高校のほか、四日市商業高校、四日市中央工業高校、朝明高校、菰野高校でも定員割れが見られた。少子化や志望動向の変化が市内全体に広がる中、各校がどのような特色を打ち出すかが課題となっている。
大学と連携 在学中から専門的な学びを提供
四日市西高校は、暁高校(同市萱生町)や四日市メリノール学院高校(同市平尾町)と通学エリアが重なり、私立高校授業料実質無償化の影響を受けた。
そこで、薬剤師や看護師、理学療法士など医療系への進学を希望する生徒に、在学中から専門的な学びを提供しようと、6月に鈴鹿医療科学大学と高大連携協定を締結した。
9日に同校で開かれた進路ガイダンスでは、同大の野口佑太准教授が理学療法士と作業療法士の仕事内容や必要な知識、それぞれの役割の違いを解説。「四日市市は他の市町に比べると転入者が多く、理学療法士や作業療法士の需要は高まる」と話した。参加した生徒たちは、大学教員ならではの視点で語られる現状や将来像に熱心に耳を傾けた。
参加した林彩花さん(2年)は、看護師と理学療法士のどちらが自分に合うか考えている最中だという。「理学療法士の方が、患者とより密なコミュニケーションがあると分かった。看護師の説明も聞いてどちらが自分に合うか判断したい」と話した。理学療法士を目指す織田心音さん(2年)は「作業療法士との違いがよく分かった」と話した。
同大学が高校と高大連携協定を結ぶのは四日市西高校で17校目。地域の医療人材育成という教育的意義に加え、少子化で学生確保が課題となる中、高校生との接点を早い段階から築く狙いもある。
こども園や子育て支援施設での保育実習も

一方、同校では3年生の選択科目「保育基礎」で、地元の桜こども園での実習や子育て支援施設での工作教室など、県立普通科では珍しい実践的な学びも行っている。授業で学んだ知識を踏まえて現場に入るため、中学校の職場体験とは異なる専門性の高い学びとなっている。

子育て支援施設での実習では、生後5カ月の乳児と接することに不安を感じた生徒もいたが、子どもの表情を読み取り、自ら笑顔で接する姿も見られた。実習後には「子どもに声をかける言葉のレパートリーを増やしたい」「自分から積極的に話しかけ、子どもたちに緊張が伝わらないようにしたい」など、それぞれが次回に向けた課題や目標を挙げていた。
私立高校実質無償は授業料のみ 入学時は平均20万円必要
私立高校授業料の実質無償化は進路選択の幅を広げる一方、施設費や制服代、教材費などは別途負担が必要となる。入学金も県立高が5,650円に対し、私立は平均5万円ほどかかる。授業料は無償化されても、初年度は制服代や教材費などで20万円前後の負担が生じるのが一般的だ。
高校3年間をどのような環境で学び、その後の進路につなげるのか。少子化が進む中、県立高校にはこれまで以上に「学びの特色」が求められている。四日市西高校の取り組みは、生徒一人ひとりの進路実現を支える取り組みの一例となっている。









