【青春開花】「自分たちだけで勝つ」 9人の挑戦 四日市南高女子サッカー部 

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サッカーゴールの前で2列で肩を組む四日市南高校女子サッカー部員
【仲の良さを感じる四日市南高校女子サッカー部員】

 三重県立四日市南高校女子サッカー部は、部員が9人。サッカーは1チーム11人が基本だが最低7人いれば試合ができる。「誇りを胸に」をモットーに、合同チームではなく、単独チームで「自分たちだけで勝てる」チームを目指し、練習に励んでいる。 

合同チームが増える県内女子サッカー界

 県内では現在、高校8校に女子サッカー部がある。しかし、部員が足りずに合同チームで試合に出場する学校がほとんどだ。四日市南高校女子サッカー部は、10年ほど前は50人ほど部員がいたという。

 少子化だけでなく、中学時代にコロナ禍が直撃して部活動に打ち込めず、高校進学後に未経験のサッカーに挑戦しようと考える生徒が少ないことが、影響しているという。こうした背景から、県内の女子サッカー界は「人気はあるのに部員が集まらない」という現象が続いている。

キックの練習をする部員、その背後で順番を待つ部員がいる
練習に励む部員

初心者でも大丈夫 深まる仲間との絆

 四日市南高校女子サッカー部は、入学式の後に部活体験を開く。先輩部員が楽しそうにサッカーをしている様子を見て、新入生が「初心者の自分にもできるかも」と入部してくる。中学時代に部活動で男子とプレーしていた部員もいるが、ほぼ全員が初心者だ。

 「自分から率先して働くこと」「失敗してもめげないこと」「粘り強さ」を大事にしている。練習では「現状を更によくしよう」という意識を持ち、その解決策を考えるよう心掛ける。自主性や主体性を持ち、他人を助けたり協力したりできる力をつけ、チームワークに生かす。チームの目標は三重県内でベスト4以上だ。

キックの練習をする部員。その後でボールに足をかけて順番を待つ部員がいる
練習に励む部員

 少人数だからこそ、学年間の壁がなく、仲がいい。マネージャーも選手が気持ちよくプレーできるよう、ボールの管理や水分補給の準備、テーピング技術を学ぶだけでなく、選手一人ひとりにお守りを手作りする。選手は一針一針に思いを込めたお守りに励まされながら、絆を深めている。

背番号のついた南高校のユニフォームを模したものなど、たくさんの手作りのお守りが複数鞄に取り付けられている
手作りしたマネージャーの思いの詰まったお守り
手作りのお守りを2つずつ持って微笑む部員とマネージャー
お守りを手に微笑む部員とマネージャー


 昨年の県高校サッカー選手権は、他校と合同チームで出場して1回戦で敗退した。今年の県総体は、単独チームでの出場が実現し、3位決定戦まで進んだ。対戦相手は四日市西高で、PK戦で惜しくも敗れたものの、互角の戦いを繰り広げた。キャプテンの安積優里菜さん(2年)は、「1からサッカーを教えてくれた先輩たちが、勝って引退できるようにしたかった」と悔しさを感じたという。

女子サッカー部員が円陣を組んで両手を合わせている
円陣を組んで気合を入れる部員

楽しさ地域に広げる キッズリーダーの活動

 選手たちの活躍の場は、試合だけでない。「子どもたちにサッカーの魅力を伝えたい」と、日本サッカー協会(JFA)認定の公認キッズリーダー資格を取得した。

 サッカー未経験・初心者の小学校1年生~3年生の保護者を対象とし、12月14日に鈴鹿市の三重交通Gスポーツの杜鈴鹿で開催されるイベントでは、サッカーの楽しさを伝え、子どもたちと触れ合う。


「自分たちの力で勝つ」 新人戦への決意

 来年1月の新人戦も、人数不足ながら単独チームで挑む予定だ。人数的な問題よりも、プレー中の選手間の意思疎通を重視しているためだ。3年生引退後の新チーム9人ではまだ試合をしたことがないが、日々の練習や今後の練習試合を通じて経験値を高めていく。また、いつかは11人でプレーできるよう、部員たちは1人でも多くの仲間を募りたいと考えている。

 「自分たちの力だけで勝った」と胸を張れるように――。少数精鋭ならではの強い絆で、四日市南高校女子サッカー部は挑戦を続ける。

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