産後うつやワンオペ育児に寄り添う四日市の産後ケア施設「シェルマーム」誕生の背景

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想いを語る助産師2人
【産後ケアの重要性について語る助産師】

 三重県四日市市ときわに産後ケア施設「Shell Ma’am(シェルマーム)」が6月にオープンした。非日常的な空間で疲れを癒やしながら、育児に向き合う時間を過ごせる施設として利用者を受け入れている。そこには、助産師たちの強い思いが込められている。

支援が必要なお母さんを助けたい―助産師の思い

想いを語る助産師
助産師の松本さん


 シェルマームの運営会社の株式会社シェルハート(成宮知宏代表取締役)と、協力関係にある医療法人悟りの会貝沼内科小児科(理事長兼院長貝沼圭吾)は、これまでも多くの子育て支援に関する事業を協働して取り組んできており、その中で助産師として松本憲子さんは中核的な役割を果たしてきた。

乳幼児を育てる家庭を訪問する中で、親族の支援を受けられない家庭や、さまざまな事情から育児に困難を抱える家庭に接してきたという。「退院後のお母さんに、もっと手厚いサポートが必要だ」。その思いを長年抱き続けてきた。

笑顔で話す助産師の薮本さん
笑顔で話す助産師の籔本さん

 また看護師の籔本享子さんは、三重県立総合医療センターで、NICUと地域連携室に勤務し、赤ちゃんとお母さんたちの抱える課題に直面してきた。神奈川県にある日本最大級のリゾート型産後ケアホテル「マームガーデンリゾート葉山」の存在を知り、同じような施設を作りたいと話してきた。その想いを実現する形でシェルマームが誕生し、籔本さんの想いに共感した経験あるスタッフが集まったという。

 

らせん階段に並ぶ5人のスタッフ
経験豊かなスタッフ

ワンオペ育児のその先に起こった悲劇

 貝沼圭吾院長も、知人の妻が産後うつを発症し、痛ましい結果に至った経験から、出産後の支援の重要性を強く認識したという。

貝沼内科小児科の看板の前に西森医師と立つ貝沼院長
看板の前に西森医師と立つ貝沼院長(左)

 「情報があふれる時代に、初めての育児で何が正しいか分からず不安になる母親は多い。情報に振り回されず、純粋に子育てを楽しめる環境を整えたい」と語る。

ベッドとベビーベッドとテレビ冷蔵庫の置かれたシェルマームの居室
シェルマームの利用者の居室

 シェルマームでは今後、上の子の託児も視野に入れている。産後ケアを利用したくても、上の子の預け先がないことで利用をためらう母親は少なくない。「託児があれば行けるのに」という声は多く、産後ケアにとって欠かせない要素だ。

 また、痰の吸引など常時医療ケアが必要な子どもを育てる家庭の支援も課題の一つだという。貝沼院長は、医療的ケア児の受け入れも視野に入れているという。

 一方、利用者からは「父親も一緒に泊まれたら」という声も寄せられる。しかし、ほとんどの産後ケア施設は母親が安心して休息できる環境を重視し、父親の同泊は行っていない。また、家族での宿泊が中心になると、産後ケア事業ではなく宿泊サービスとみなされる可能性があるため、施設側が慎重に運用している側面もある。シェルマームも同様の理由から父親の同泊には対応していない。

 「お母さんが心から安心して休める空間を守りたい」。シェルマームには、そんな思いが込められている。また、YOUよっかいち姉妹サイト「MinaSukiよっかいち」の四日市|非日常的な空間でゆっくり子育て 産後ケア施設「シェルマーム」はママの頼もしい味方(https://yokkaichi.city/2026/06/09/5921/)では、新施設シェルマームの居室などを詳しく紹介している。


【記者メモ】

 記者自身も2人の子どもを育てており、2人目が生まれてからの2年間が最もつらかった。

 上の子は赤ちゃん返りで泣き叫び、落ち着いたと思えば、下の子が危ない場所へ向かう。食器を投げられ、夕食をひっくり返され、怒りと無力感に押しつぶされそうになった。

 ママ友とも会えず孤立が深まり、周囲を敵のように感じた時期もあった。あの頃に産後ケア施設があれば、どれほど救われただろうと思う。

 産後ケアは、出産直後の母親を支援するだけでなく、子育て家庭の孤立を防ぐ役割も担う。今回の取材を通じて、その大切さを改めて感じた。

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