三重県四日市市日永の県立総合医療センターで10月15日、一般向けの生活習慣病教室「認知症を遠ざけるために~生活習慣から考える脳のメンテナンス~」が開かれた。認知症発症リスクの低減と生活習慣の関係を専門医が最新の知見から解説する内容で、100人近い参加者が耳を傾けた。
認知症は直接、生活習慣病とはいえないが、食事や運動など日ごろの生活が発症リスクに影響を与えるとみられており、今回、生活習慣病教室のテーマとして取り上げた。講師は、医療センターの脳神経内科部長や診療部長などを務める伊藤伸朗医師(58)。今年度3回目の生活習慣病教室だが、だれもが当事者になりうる認知症への関心の高さか、過去2回を上回る参加者になった。

伊藤医師は、認知症疾患の割合はアルツハイマー型が約6~7割、血管性が約2割、レビー小体型が数~1.5割程度などとなっていることを示し、まず、アルツハイマー型認知症につながるアルツハイマー病の仕組みや薬物治療について解説した。
アミロイドβと呼ばれる「脳のゴミ」ともいわれるタンパク質が蓄積すると、神経細胞に多く存在するタウと呼ぶタンパク質の異常蓄積を促す引き金のような役割を果たし、問題となるという。現時点での投薬や、もっと早い段階で抑えられる投薬やタイミングが課題になっているとした。
一方で、認知症は脳内の血管障害などによっても起き、アルツハイマーなどと複合して影響を及ぼすこともあるという。このため、認知症を遠ざけるためには、「脳のゴミ」の対策のほか、血管障害を抑えることや、日常的に脳を使って「脳の余力」を増やして認知症から逃げ切るなど合わせ技が大切だとした。

伊藤医師は、難聴、高血圧、喫煙、肥満、身体活動不足、過量飲酒、教育暦の短さ、社会的孤立など、14項目の認知症の危険因子を挙げ、これらの対策として、運動不足なら歩く、筋トレ、バランス(片脚立ちなど)を意識する実践の大切さを説明した。ふくらはぎを心臓に向かって押し戻すようなマッサージも効果的だという。
社会的交流の少なさや孤独感も認知症リスクを1.3倍~1.9倍に高めるとの報告があるそうで、無理のない形で人との交流を続けることも大事だという。食事、運動、認知訓練、血管リスク管理を組み合わせた取り組みで認知機能スコアが改善した報告もあるとし、複数の実践を選び、早く始めて長く続けることが大切だと説明した。伊藤医師は「何をするにしても、“今日が人生で一番若い日”」との言葉を紹介し、きょうからでも、できることから認知症を遠ざける生活習慣を始めてほしいと勧めた。















