菰野ふるさと映画塾上映会に120人来場 瀬木監督講演に聞き入る 6月の第10回塾生募集

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瀬木直貴監督(右から2人目)と菰野ふるさと映画塾実行委員会のメンバー
【瀬木直貴監督(右から2人目)と菰野ふるさと映画塾実行委員会のメンバーら】

 三重県菰野町で13年にわたって続く映画づくりの取り組み「菰野ふるさと映画塾」。その作品上映会と、同塾で映画づくりを指導してきた四日市市出身の映画監督・瀬木直貴さんによる講演会「菰野で映画な日日 映画三昧」が4月18日、同町町民センターホールで開かれ、県内外からおよそ120人が訪れた。

 同日から、今年6月に予定されている第10回映画塾の塾生募集も開始。募集の詳細は記事末で紹介する。


これまでの映画塾を振り返る展示も盛況

 会場ロビーでは、2013年の第1回から昨年の第9回まで、同映画塾の活動を写真や新聞記事で振り返る展示もあり、足を止めて見入る人の姿が目立った。

 2016年の第4回作品「幸せな結婚」の展示の前では、来場者の1人が1枚の写真を指差し、「ここがうち。2秒だけ映ったんだよ」と笑顔を見せた。同作品は菰野町田口地区で民家を借りて撮影され、近隣住民も出演したものだという。

自宅が映ったロケ写真を指差して説明する来場者
自宅が映るロケ写真を指差す来場者

 実際にロケに使われた古民家はすでに取り壊されており、同行者も「懐かしいなあ、皆でここで素麺を食べたね」。展示を前に交わされる何気ない会話からも、作品が地域の記憶として残っていることがうかがえた。

 上映に先立ち登壇した塾長の森豊さんは、「3日間で10分のショートムービーを作る。初日はすったもんだしながらも、最終日には1つのチームになる」と映画塾の特徴を説明。「最終日の上映では皆で涙する。それを13年前から続けてきた」と語った。

上映に先立ち挨拶する森豊塾長
挨拶する森豊塾長

スクリーンに映し出されたもの

 この日の上映では、第1回作品「奇跡の糞」から最新作「アイ[マイ]マイ」まで、これまでに制作された15作品の中から5本が上映された。

 それぞれ約10分間の短編とあって、集中して鑑賞する様子が見られた。エンドロールでは、キャストやスタッフに見知った名前がないかを確かめるようにスクリーンを見つめる来場者も。

 アンケートでは、「3日間で作れることに驚いた」「映画を通して地域の活性化につながることを知り、とても勉強になった」といった声のほか、「映画人を育てる取り組みを応援したい」と、継続的な活動への期待を寄せる意見も見られた。

2025年制作の短編映画「アイ[マイ]マイ」のワンシーン
2025年に制作された「アイ[マイ]マイ」の1シーン

映画が地域にもたらすもの

 上映に続いて、瀬木監督が「創るよろこびからまちの元気を!」をテーマに講演。各地での映画制作の事例を紹介しながら、映画が地域にもたらす可能性について語った。

 「映画は記録を残すだけでなく、人と人をつなぎ、地域の中にいる人材を見える形にする力がある」。地域と協力しながら映画制作を行ってきた経験を踏まえた言葉だ。さらに、映画をきっかけに祭りや商品開発が生まれるなど、「フィクションが現実に形になることもある」と、その波及力に言及した。

 また、最低でも半年は現地に滞在して制作に臨む自身のスタイルを明かし、「地域の生活感覚を共有しなければ、その土地に根ざした映画は作れない」と語った。

講演会で映画制作について語る瀬木直貴監督
講演会で映画制作について語る瀬木直貴監督

地域の価値をどう伝えるか

 質疑応答では、菰野町を舞台に2012年に制作された瀬木監督作品「Good Luck〜恋結びの里〜」の話題が上がった。来場者は湯の山温泉が寂れていることに言及し、「もう一度活性化のきっかけがあればと願う。再びこの地域で映画を制作してほしい」と期待を寄せた。

 瀬木監督は、「人口減少は避けられないが、その中でも次の一手は必ずある」と応じ、例えば「『菰野』という地名も地元以外の人は読めないことも多いが、それを話題にすることもできる」とし、「白神山地に行かなくても、菰野には素晴らしいブナ林がある。遠くの世界遺産ではなく、近くの菰野。地域の価値をどう伝えるかが大切」と語り、「また機会があれば一緒に何かできれば」と、今後の展開にも含みを持たせた。

地方創生の事例として監督作「恋のしずく」を紹介する瀬木監督
地方創生の視点について、監督作「恋のしずく」の事例を紹介する瀬木監督

観客としてだけでなく、つくり手として

 映画塾に参加経験のある来場者の姿も見られた。第7回から第9回まで3年連続で参加した松山知司さんは、「大きな画面で見ると感動もひとしお。撮影時に苦労したことを鮮明に思い出し、ぐっときた」と話し、多湖知里さんは「いろんな地方での制作から広がった事例を聞き、瀬木監督にぜひ菰野でメガホンをとってほしい気持ちが高まった」と声を弾ませた。

 6月26日(金)から、第10回の映画塾開催が予定されており、塾生の募集が始まっている。暮らしの延長にある風景と物語を、観客として見るだけでなく、自らつくり手として関わることができる扉が、新たな参加者に開かれようとしている。

■ 開催概要

日程:2026年6月26日(金)〜28日(日)
場所:湯の山温泉「ホテル湯の本」(三重県菰野町)
対象:16歳以上(経験不問)、未成年者は保護者の同意が必要
定員:15人(初参加の方優先)
参加費:一般:44,000円・学生:39,000円
※2泊3日の宿泊費と食事代込み

■ スケジュール

1日目:開校式、企画・脚本会議、ロケハン
2日目:撮影実習、映像編集
3日目:音響編集、上映会、閉校式

■ 申し込み・問い合わせ

締切:2026年6月10日(水)
連絡先:御在所ロープウエイ内「ロケーション応援団菰野」
TEL:0593922275(担当:森さん)
エントリーフォーム:(https://ssl.form-mailer.jp/fms/9c099c30880437

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