土曜の午前8時、四日市市立南中学校(三重県四日市市前田町)のグラウンドに、学校の枠を越えた中学生が集まった。常磐中学校(松本)や塩浜中学校(塩浜)などから参加する生徒たちだ。夏休みを経て、ほとんどの運動部活動について、休日の活動は終了し、市が認定する地域クラブの活動が本格的に始動した。南中を拠点とするサッカーの地域クラブ「常南FC」も9月から本格的に活動を始め、現在41人が登録している。
設立の背景
市は国の方針を受け、2023年度から休日の部活動の地域移行に向けた準備を進めてきた。休日のサッカー指導を希望する現職教員や地域指導者が集まり、指導者数や参加希望者の見込み数から、設立が必要とされるクラブ数や、設立可能なクラブの配置などを検討。常南FCを含む7つの地域クラブの設立が決まった。
常南FCでは、市教委職員、南中サッカー部顧問、三泗地区の小学校教員の指導者3人が、兼職兼業で指導に当たる。体験会を経て9月から正式に活動を始めている。

学校の枠を越えた新チーム
常南FCには常磐中、南中のほか、複数の市内中学校から生徒が参加する。南中のサッカー部員は14人で、平日の練習では試合形式の練習が難しいこともあるが、休日に地域クラブで活動することで、人数をそろえた実戦形式の練習が可能になった。
学校によって部活動の数には差があり、希望する競技や文化活動を学校だけでは選べない生徒もいる。体験会に参加した保護者からは「通学している中学校にサッカー部がないのでありがたい」との声も寄せられた。
この日の練習では、参加者が2チームに分かれて紅白戦を行った。キャプテンはまだ決めておらず、上級生が率先してポジションを決め、互いに声を掛け合う。普段は別々の学校で活動する生徒たちが、一つのチームとしてプレーしていた。

常磐中1年の畑中春瑠さんは「休日も練習して強くなりたい。他の学校の生徒もいて参考になる」と話す。

3年生も参加できる点も、地域クラブの特徴の一つだ。中学校の部活動では、運動部は夏の中体連、文化部は秋の行事やステージを区切りに、3年生が引退するケースが多い。地域クラブは高校入学まで活動を続けられる場にもなっている。
この日参加していた南中3年の比嘉和男さんは「高校でもサッカー部に入りたいので、体力やスキルを落としたくない。本当なら毎日練習したい」と話した。

指導者が変わる不安も 新たな視点が子どもを伸ばす
平日の部活動とは異なる指導者が休日に指導することに不安を感じる保護者もいるという。一方、指導者が変わることで新たな視点が生まれ、多くの大人が様々な側面から生徒の成長を見守ることができる利点もある。
指導者の飯田智也さんは、勝敗だけを重視するのではなく、自主性や連帯感、責任感を育てる場にしたいという。「他校の生徒たちと練習することで、色々な学校やチームの文化が交わる経験をすることができる。新たな仲間と話し合いながら、1からチームを作り上げていく魅力がある。指導者としても、ひとつのクラブ内で完結せずに、一緒に子どもを育てる仲間として種目全体で連携し、子どもの活動の場を作っていきたい」と語る。常南FCでは今後、ほかの地域クラブやクラブチームとの試合も予定している。
テニスの地域クラブに通う生徒は
サッカーは、地域クラブの設立数も多く、参加者も集まりやすい。ほかの競技はどうなのか、笹川中学校でテニス部に所属している生徒に話を聞いた。
休日は「四日市中学生テニスクラブ」の笹川中、富洲原中、大池中それぞれの会場で練習している。大勢が集まるためコートが足りず、アップした後、コートを使う順番が回ってくるまでに時間がかかる状況があるという。他校の生徒と練習でき、ほかの指導者から指導を受けられるのはいいが、「学校では部員が少ないので、コートが使いやすい。練習量は、平日の方が多い」と話す。
保護者も「子どもが休日も練習したいので通っているが、家から富洲原中や大池中は遠く、送迎の負担が増えた。自転車で行ける範囲にしてほしい」と話していた。
種目によって環境や課題は異なるが、子どもたちが安心して続けられる場づくりをどう進めるかが、地域展開の今後の焦点になりそうだ。










