三重県の四日市市議会は9月10日、各常任委員会での審議が始まった。水没した地下駐車場取得のための補正予算案は、都市・環境常任委員会で市側と約3時間の質疑をしたが、見解の違いで溝が埋まらず、委員の総意により採決を保留、9月28日の予算常任委員会全体会での判断にゆだねることにした。産業生活常任委員会では、市立四日市病院から患者死亡の手術の重大事故についての報告があった。
都市・環境常任委員会の審議では、「委員の責任として、委員会での採決をきちんとしたうえで全体会に上げるべき」との意見もあったが、「内容の重要性からみて、できるだけ多くの議員の意見を聞いてからの方がよい」との声もあり、最終的に全員が保留に賛成した。
委員から様々な不満が投げかけられる
質疑では、市が取得して公共工事で地下駐車場を復旧したあと、年間収益を9100万円余と見込んだ市の試算に対し、委員から「本当にこれだけの収益が見込めるのか」など疑問を投げる質問があった。
「最終的に競売になることを待てば、もっと取得価格は下がるのではないか」との質問もあった。市側は、市への転売をねらう第三者に落札されるリスクがあったことなどを説明した。管理会社の借り入れの関係で現地に抵当権をもつのが県のため、「なぜ県に支払う必要があるのか。県に損金扱いしてもらえないのか」と質問する委員もいた。
「四日市の都市基盤として駐車場は必要だという判断か」の質問には、市側は「500台を超す規模の駐車場を今から中心市街地に造ることは困難で、すでに国が国所有部分の復旧を急いでおり、市も急がなくてはならず、時限的な国の補助制度も使えるぎりぎりのタイミングでもあるということだ」などと説明した。
「浸水は国側からも入っており、止水版の故障があり、バスタの工事現場からも流入していた。国に責任があったことは間違いなく、中央通り側も国に工事をしてもらっていいくらいだ」「破産管財人が今後どう動くか、方針も分からない中で取得に入るのはどうなのか」といった質問もあった。
市側は、破産管財人の主張する、浸水したとしても地下駐車場の建物(躯体)には価値が残っているとの前提から交渉を進めてきたが、県の抵当権を外すという当初の市側で想定していた金額に近い価格になったことで、取得に関する議案上程を急いだとの説明をした。
委員会はPFAS汚染防止の意見書案を可決
都市・環境常任委員会では、議員発議による議案「有機フッ素化合物(PFAS)による水環境汚染の防止対策に係る法整備及び財政支援を求める意見書の提出について」の審議もした。発議者の荻須智之さんが関連の説明をし、数件の質問があったあと、委員会としては全会一致で可決すべきと判断した。
人工股関節の手術で患者が死亡
産業生活常任委員会では、市立四日市病院から「示談案件における賠償金の支出についての報告」があった。左変形性股関節症に対する人工股関節全置換術を施した70歳代の女性の患者さんが、手術の際の血管損傷で出血が止まらず、翌日亡くなったという。
事故は2020(令和2)年9月に起きたが、外部委員による院内事故調査委員会で原因等を検討、結果を遺族に伝えたところ、再調査を求められ、国による再調査を受けたため、この時点での報告になったという。国の調査結果が出たのが2025年4月で、最も重大なレベル5の医療事故で、1500万円を遺族に支払ったという。
病院側は「非常に残念。現在は事前の診断を綿密に行って、手術方針についても意思を統一しているが、それでも手術はやってみないと分からないものがある。電気ドリルを入れた時の感覚は難しく、1500例を扱ってきたこの地域でも経験のある医師だったが、起きてしまった」などと説明した。















