認知症への理解を促し、だれもが手を携えて暮らせるまちづくりを目指す「RUN伴(らんとも)四日市2026」が11月7日、三重県四日市市で開かれた。冷たい強い風も吹く日だったが、認知症の当事者95人や一般、ボランティアらの参加者56チーム355人が、ランやウォークで南ルート、北ルートに分かれてたすきをつなぎ、総計約47キロを走って市中心部で合流、市民公園でゴールした。
太鼓演奏の励まし、手づくりのゴールのアーチ
南ルートでは楠町南五味塚の楠福祉会館を午前8時45分にスタート。会場では、開会式もあり、地域の子どもたちによる「楠っ鼓流星」が太鼓演奏でエールを送った。
スタート地点が昨年までの在宅介護施設「ゆりかもめ」から変わり、走る距離は1キロほど長くなったそうだ。スタートしてすぐにアップダウンが激しい鈴鹿川派川をまたぐ橋を渡り、中北薬品、笹川内科胃腸科クリニック、三重トヨペット四日市新正店などの中継点で選手が入れ替わりながら走り続けた。

北ルートは萱生町の四日市看護医療大学を午前9時にスタート。今年は学生たちと一緒に柴田英治学長も参加し、垂坂町の介護老人福祉施設ヴィラ四日市へと向かった。途中、ヴィラ四日市の入所者が車いすで参加。50人余の大きなグループになって、ヴィラ四日市の玄関前でゴールした。
ゴールでは、職員やデイサービスで訪れた利用者が約1カ月かけてオレンジの紙の花づくりに協力してくれて、花で飾ったゴール用のアーチを用意していた。参加者はこのアーチをくぐり、お互いに拍手を贈りあった。
実は、ゴール前、強い風にあおられて、アーチは何度か転倒。その都度、職員が花飾りを直したりした。ランの参加者が着くまで手で支えて風に耐えるなど苦心もし、アーチを守り切った。そのアーチを背景に参加者は記念写真を撮影。柴田学長は「四日市は認知症に力を入れていて、大学も市との関係が深いので参加してみましたが、とても楽しかったです」と話していた。


色鉛筆の風景画が注目、吉川高志さんの初個展に
ゴールの市民公園では午後2時半ごろから市の認知症への取り組みを紹介するブースや、学童保育所のみなさんが運営する飲み物のサービスや射的や輪投げなどのコーナーが設けられ、ゴールを待つまでの間、親子などで楽しめるようになっていた。
日永東1丁目にある介護予防と認知症支援の公共拠点施設「ステップ四日市」のブースのテントでは、認知症当事者の吉川高志さん(56)が色鉛筆で描いた風景画など20点余が展示された。妻の真理子さん(53)によると、ステップ四日市に通い始めてから絵を描くようになり、まだ1年にならないが、幾つかの作品になり、これが初めての個展だという。
吉川さんは、2年ほど前から体調を崩すことがあり、話がうまく伝わらないことも起きたりし、今は休職しているという。海外の観光地などの写真を見て、それを奥行きの感じられる自分の絵に仕上げており、立ち寄った人たちを驚かせていた。別の当事者の人が額をつくってくれたという。ここでも強風で絵を飾ったパネルが倒れそうになり、周りの人が手で支えて守っていた。

午後4時すぎ、合流した最終走者がゴールテープを切った。先頭の人たちは手をつないで、ペースを合わせてゴールした。市の消防音楽隊の演奏が迎え、森智広市長もグループに加わってゴールした。北ルートからの認知症当事者の1人は、全行程を走り抜いた。
ゴールのあと、参加者、スタッフらが一緒に歌い、気持ちをひとつにした。最後は博物館をバックに記念撮影をし、みんなの頑張りをたたえあった。
















