今年度から国の私立高校授業料支援の所得制限が撤廃され、授業料の負担が軽くなった。私立高校が比較的少ない三重県では、これまで「公立が本命、私立は滑り止め」とする進路選択が一般的だったが、今年は私立高校を選ぶ人が増えた。
その背景には、費用面だけでなく、私立高校が提供する「個別サポート」を求める家庭の増加がある。
不登校は12年連続増加 四日市でも身近な課題に
文科省の調査では、不登校児童生徒数は12年連続で増加。県教委によると、2024年の三重県内中学校では2823人(6.47%)が不登校となった。不登校を経験した生徒の多くが、毎日登校しなくても学べる通信制高校を選ぶ傾向が強まっている。
四日市市内には、県立北星高校(茂福)、第一学院高校四日市キャンパス(鵜の森)、向陽台高校 古川学園キャンパス(安島)など、複数の通信制高校がある。
第一学院では臨床心理士がスクールカウンセラーとして生徒をサポートし、古川学園では情報・料理・保育・介護など多様な学びが可能。全日制にはない“自分に合った学び方”が選べるのが特徴だ。

四日市メリノール学院高等学校が通信制課程を開設
こうした流れの中、2023年には四日市メリノール学院高校(平尾町)に通信制課程が併設され、不登校経験のある生徒や、社会に向け前向きに挑戦しようとする生徒を積極的に受け入れている。
今年3月には1期生44人が卒業。上智大学や南山大学など16人が大学へ、14人が医療・美容系専門学校などへ進学、8人が企業へ就職した。現在は1年生57人、2年生47人、3年生56人が在籍している。
全日制から他校に転校せず、通信制課程に転籍できる
同校には、全日制から体調不良などを理由に通信制へ転籍してくる生徒も多い。今後は帰国子女や海外にルーツを持つ生徒の受け入れも検討している。海外での学校生活が長く日本の高校に慣れるのが難しい生徒にとっても、柔軟な学習環境は魅力的だ。
他校では全日制に通うのが難しくなった生徒が通信制の高校に変わる場合は、転校せざるを得ないケースがほとんどだが、同校なら転校することなく、内部転籍できるため、環境の変化が少ないのが特徴だ。
生徒の声が語る「通信制のリアル」
長尾奏汰さん(2年)は中学で不登校を経験。入学後も通学が難しい時期もあったという。「興味のある科目が増え、登校する日が増えた。自分のペースで学べるのが魅力」と話す。また、友達と共通の趣味を通じて楽しい時間を過ごすこともあるという。

大田莉子さん(3年)は体調面の不安から通信制を選択。「服装もメイクも自由で、多様性が認められているのが魅力。勉強だけでなく、悩みごとも先生が親身になってくれる」と語る。アルバイトを通じて、学校外の人間関係の広がりもあるという。

辛い思いをした生徒に安心して通える場所を
伊達功治教頭は「通信制課程には中学時代に辛い経験をした生徒や、思うように通学できなかった生徒も多いですが、入学後に学校で笑顔を見せてくれることが何より嬉しい」と話す。同校の通信制は、スクーリングが他校より多く、ほとんどの生徒が週に3日ほど通学している。生活リズムを整えやすいのも特徴だ。「メリノールを選んでくれた生徒のために、楽しく、何より安心して過ごせる空間をつくりたい」と語った。
29日個別相談会開催
同校では4月29日(水曜・祝日)午前10時から「個別相談会・教室見学会」を開催する。教員や在校生が個別に相談に応じる。事前申し込み不要。









