伊勢湾台風の被災地に米国の女優シャーリー・マクレーンさんらから贈られた「愛のピアノ」が三重県川越町にも残っており、9月に演奏会と当時の被害の様子を語り継ぐ集いが開かれる。ピアノは川越中学校にあるが、今では存在そのものを知らない町の人も多く、台風の記憶とともに、多くの人にその存在を伝えたいという。
米国からメッセージも届く
集いは「語り部と“愛のピアノ”コンサート」で、9月12日午後2時から川越町あいあいホールで開かれる。川越町伊勢湾台風メモリアル実行委員会が主催し、川越町、朝日町などが後援、四日市北消防署防災教育センター、第一楽器が協力する。入場は無料で、500円のカンパで缶バッジ1個をプレゼントするという。
実行委員会が集いの開催についてマクレーンさんにメールで伝えたところ、開催を応援するメッセージ入りの写真が送られてきたといい、ポスターにも印刷されている。マクレーンさんにとっても、半世紀以上が過ぎた被災地からのうれしい連絡だったといえそうだ。

当時の状況を2人が語り、2部が愛のピアノの演奏会
当日、第1部は1959年9月に襲来して67年になる伊勢湾台風の当時の状況を、石河雅文さん、寺本芳隆さんの2人の語り部が話す。石河さんは当時11歳。兄弟と祖父母が亡くなったという。寺本さんは当時7歳。公民館に避難したが、翌日、泥の入った自宅の惨状を見ることに。
第2部のコンサートでは、いずれも川越中学の卒業生でもある杉丸太一さんと河村晶子さんが演奏する。杉丸さんはジャズピアニストで、ニューヨークのカーネギーホールでも演奏した。河村さんはクラシックピアニストで、シャトウー国際ピアノコンクール(フランス)で2位を受賞している。

川越中学のピアノは生徒の夏の自由研究で見つかる
親日家だったマクレーンさんは、伊勢湾台風の直後、夫でプロデューサーのスティーブ・パーカーさんと共に呼びかけ、2万ドルを集めた。このお金は朝日新聞厚生文化事業団に寄託され、同事業団が東海3県で浸水などの被害に遭った47校(愛知県30、三重県15、岐阜県2)にアップライトのピアノを贈り、愛のピアノと言われるようになった。
川越中学の場合、寄贈された当時は旧明和中学で、その後、朝日中学と川越中学に分かれた歴史があり、ピアノを引き継いだ川越中でも、時の経過とともに愛のピアノであることは忘れられていた。2016年、ピアノの側面にある寄贈の経緯を刻んだ銘板を生徒が見つけ、4人の生徒が夏の自由研究で寄贈の経緯などを調べ、当時、残っていることが分かった12台目の愛のピアノだと発表し、川越町に存在することが分かった。

アカデミー主演女優からのプレゼント、その音色を
シャーリー・マクレーンさんは現在92歳。ジャック・レモンさんと共演した「アパートの鍵貸します」、アルフレッド・ヒッチコック監督の「ハリーの災難」など多くの映画に出演した大スターで、「愛と追憶の日々」ではアカデミー主演女優賞にも輝いている。
実行委員会の会長を務める柳川平和さん(74)、監事の伊藤日出文さん(71)は企画準備の段階で川越中学を訪ねてピアノを確認した。ちょうど、校舎の改修工事中で、教室の隅に置かれている状態だったが、「川越町に、こんなに素晴らしいエピソードを持つ愛のピアノがあることを多くの人が知らないのはあまりに残念。町の文化財にしたいほどで、ぜひ、その音色に触れてもらいたい」などと話している。
伊勢湾台風は死者・行方不明者が5000人を超えたとされ、川越町でも死者・行方不明者174人、負傷者290人などの被害があったという、











