高校生が保育園で子どもと接し、保育士の仕事を体験する「保育インターンシップ」が三重県四日市市で4年目を迎えた。保育士不足が全国で課題になるなか、今年は約110人が参加し、初回の約30人から大きく増えるなど、保育を担う人材を育てる取り組みとして定着した。市内だけでなく広く県内や名古屋からの参加もあり、待機児童解消の課題を抱える市も期待している。
産学官連携で連続2日間の体験を提供
四日市私立保育連盟、保育の担い手を養成しているユマニテク短期大学、四日市市の産学官三者の連携事業で、全国的にも数少ない取り組みという。今年は7月27日から8月7日までの日程で行われ、高校生は、市内の私立保育園やこども園の32園から好きな園と日を選び、連続2日間の体験ができる。体験の内容は各園の施設の状況などに応じて異なるが、参加者には体験時に使うエプロンのプレゼントもあり、必要な実費の一部は市が支出している。
今年の参加者は、四日市市の40人をはじめ、桑名市15人、鈴鹿市14人、いなべ市9人、さらに津市、松阪市、伊賀市など県内各地や名古屋市からも参加があった。参加者は2023年度の約30人から始まり、2024年度約80人、2025年度約90人と増え、今年、初めて100人を突破した。保育士の処遇が改善されつつあることや、インターンシップが高校の進路担当者に広く認識されてきたこともあるようだ。
職業としての保育士を前向きに考える参加者たち
たいすい中央こども園(四日市市鵜の森1丁目)での7月31日の体験には県内の4人の高校生が参加した。子どもと手をつなぎ、音楽に合わせて体を動かしたり、お昼寝の介添えを体験したりした。子どもたちの元気な姿に高校生も自然と笑顔になっており、園で働く少しだけ年上の保育士から仕事や進路のことで助言をもらうこともあったようだ。
四日市市にある私立の暁高校から参加した3年生の中島暖音さん(17)は、小学生の時に近くの保育園と交流する機会がよくあり、その体験から「子どもたちが安心できる保育士になりたい」と思うようになったという。「将来の職業としても、しっかり心の中で検討しています」と話している。

単なる体験で終わらせないプログラム
三重県内では、保育園を訪ねる高校生のバスツアーを実施している自治体も幾つかある。一方、四日市の保育インターンシップでは、ユマニテク短期大学が体験の前後に日程をつくり、事前のオリエンテーションと、振り返りの時間を設けている。初参加の高校生が目的意識をもってインターンシップに臨めるほか、体験で自分たちがした仕事をふりかえり、職業としての保育士を意識してもらえるという。
ユマニテク短期大学では、今年度から幼児保育学科に長期履修3年コースを設け、従来、2年で学んできた課程をゆとりをもって3年で学べるよう、選択を広げる改革をした。高校生の時の体験をきっかけに進学先に選んでもらった時に、それぞれに合った勉強の仕方を提供し、保育士への道を着実に進んでもらおうという考えだ。
待機児童数ゼロをめざす四日市市の期待
四日市市は保育園の年度当初の待機児童数が5年間ゼロだったあと、2024年に6年ぶりのプラス、しかも、いきなり70人を上回り、全国ワースト3となった。その後、専門の派遣会社に業務委託して保育士確保に努めたほか、私立の受け入れ増や待機児童の受け入れをする認可外保育施設に対する支援の手も打った。保育園の事務のデジタル化を支援して保育士の仕事の負担を軽くする待遇改善策も実施している。
こうした取り組みで、市の待機児童数は減ってきている。しかし、まだゼロとはなっておらず、一方で、国の方針で2026年度から全国で始まった、保育所などに通っていない子も一時的に預けられる「こども誰でも通園制度」が運用できていない。両方を満たそうとすれば、さらに保育士が足りない状況になるからだ。市はこうした課題を抱えつつ、当面は待機児童数をゼロにすることを優先して行く考えだが、それだけに、保育士を確保することは重要な施策のひとつになっている。
保育インターンシップは、将来の保育の人材を育てるもうひとつの柱だと市は位置づけている。「採用試験をめざすきっかけが、かつて保育園で素晴らしい先生に出会ったことという人は多い。中学生の職場体験とも合わせ、地味ではあるが、こうした機会づくりが将来への大切な取り組みだと考えている」と担当者は話している。















