通院や美容院、買い物の会計中など、「少しだけ抱っこを代わってほしい」。そんな子育て中の保護者を支えるボランティア団体「三重県抱っこし隊」の活動が、四日市周辺で広がっている。利用は無料で、子どもを預けるほどではないものの、少しだけ誰かの手を借りたい場面で利用できる。
三重県抱っこし隊は、子育て経験者らが保護者のそばで赤ちゃんを抱っこし、育児中の負担や孤独感の軽減を目指す取り組み。抱っこする側には現在約130人が登録し、これまでに約30件の依頼に対応してきた。

三重県支部を立ち上げたのは松阪市の坂野真帆さん(42)。4人の子どもを育てる母親だ。かつて上の子ども3人を連れて離婚し、シングルマザーとして子育てを経験した。実家を頼れず、ほぼ一人で育児を担ったという。
その後再婚し、4人目の子どもが生まれたが、夫は出張が多く、日中は赤ちゃんと2人きりの時間が続いた。「誰かに助けてほしい。大人と話したい」。そんな不安や孤独を抱えながら子育てをしていたという。
子育て中は、託児を頼むほどではなくても、買い物で会計をする時や、行政窓口や銀行で手続きする時など、ほんの少し誰かの力を借りたい場面が多くあることも実感した。「子どもと一緒でも温かいラーメンを、ゆっくり味わいたい」そんな思いを抱いでいた。
末っ子が小学生になり子育てがひと段落し、今年SNSで抱っこし隊の活動を知った。しかし三重県には支部がなかったため、自ら立ち上げを決意。SNSやマルシェ、イベントなどで活動を発信しながら仲間を集めてきた。
一般的な有償託児との違いは、保護者が近くにいる状態で赤ちゃんを抱っこする点にある。また利用者の自宅には訪問しない。
利用方法もさまざまだ。整体の施術を受ける際に同行し、待合室で赤ちゃんを抱っこして待機したり、ラーメン店で保護者が温かいうちに食事を楽しめるよう、短時間抱っこを代わったりするケースもある。ボランティア活動のため利用料はかからない。

四日市周辺での利用者も多く、川越町の伊藤佐織さんと鈴鹿市の打田陽菜さんがスタッフとして運営を支えている。保育士でもある打田さんは、利用者だけでなくスタッフからの子育て相談にも応じるなど、活動を支える存在だという。
四日市市在住の澤田静佳さんも抱っこする側のメンバーの一人。子どもが年中になり育児に少し余裕ができたことから参加した。これまで子ども服やおもちゃのフリーマーケットを開くなど、リユース活動に取り組んできた経験も生かしている。

メンバーには看護師や保健師もおり、活動を通して深刻な悩みを抱える保護者と出会うこともある。その際は行政や支援機関につなぐケースもあるという。
坂野さんは「自分が大変だったからこそ、今度は誰かを支えたい。子育てを一人で抱え込まなくていい地域にしたい」と話す。抱っこする人、抱っこされたい人、活動を支援する人を募集しており、活動内容は公式インスタグラム(https://www.instagram.com/mana.smama2/#)で発信している。
















