今年度、高校授業料無償化の拡大により、私立高校を選ぶ家庭が増えている。その中で、注目を集めているのが「暁学園」だ。今年度の入学者数は、3年制高校と中高6年制合わせて、昨年度より約70名増加。地域から選ばれる学校として、存在感を高めている。入学者増加の背景には、進学実績だけでなく3年間・6年間で積み上げる「探究活動」の存在がある。今回は、中高6年制の「探究活動」に注目した。
学外と連携し学び強化 6年間で「探究」
同校(中高6年制)は進学実績に加え、探究活動・学習やキャリア教育を学外と連携して行い、実社会とつながる学びを重視。近年は様々な大学の教員や企業の技術者を講師として招き、講義や探究学習の協力を受けるなど、各人の興味関心、進路に直結する学びを強化している。
探究学習とは「自分で問いを立て、調べ、考え、行動し、社会とつながりながら解決策をつくる学び」のこと。暁中6年制では中高一貫の強みを生かし、6年間で探究を積み上げるカリキュラムを設けている。
中学1年で環境問題、中学2年で平和学習、中学3年では社会の仕組みを学ぶ。高校1年では起業家精神を学び、高校2年では自ら設定した課題に取り組み、自分と向き合うことで、さらに自己理解を深める。高校3年ではそれまでの活動の成果を進路選択へつなげる。
四日市空襲の語り部に学ぶ 中学2年の探究学習

6年間の探究の一部として位置づけられている中学2年の平和学習の授業を取材した。16日、中学2年の「人間と平和」の探究学習で講師として招かれたのは、四日市空襲の体験談を朗読活動として伝えている出口敦子さん。生徒たちは8月に広島研修を予定しており、戦争を“遠い出来事”ではなく、自分の住む地域でも起きた現実として捉えることが狙いだ。
出口さんは、昭和の暮らしをまとめた冊子「旧四日市を語る」に記された戦争体験を朗読した。編纂者の岡野繁松さん(享年90)が語った「原爆や空襲よりも、法律や教育が少しずつ変わり、開戦前夜、誰も参戦を拒否できなくなっていたことが怖い」という言葉を紹介した。
出口さんは「若い世代に歴史を受け止めるだけでなく、考えることによって閉塞感から抜け出し、自らの平和探究をしてほしい」と語り、地域の記憶を次世代へ伝える意義を訴えた。

朗読を聞いた生徒からは、「焼け焦げた遺体の描写に衝撃を受けた」という声が多く上がった。一方で、「平和(のため)に正解を求めるのではなく、自分で調べ、考えることが大事」と記す生徒もおり、探究的に学ぶ姿勢が育っている様子がうかがえた。

昨年、出口さんがアップした動画をきっかけに台湾の研究チームと交流が生まれたことを紹介すると、生徒からは「日本だけで平和を考えるのではなく、台湾の人たちともつながっていると知ってうれしかった」との声も上がった。
中学2年の桑原浩太郎さんは「とても貴重な話が聞けた。出口さんの話を自分が若い人たちに伝えていきたい」と語り、次世代へつなぐ大切さを実感していた。出口さんは最後に「ぜひ未来に夢を持って、『人間と平和の探究』を続けてください」と生徒たちへエールを送った。

四日市で起きた戦争の記憶に向き合った平和学習は、過去を知るだけでなく、今を生きる自分たちの問いへとつなげる探究の時間となっていた。
授業で披露された朗読は、出口さんが制作した動画、「新・『四日市空襲を語り継ぐ』」第1弾に収録されており、YouTubeで公開されている。https://youtu.be/U3-QdUCfa8c?si=T53IrLA7kIjzJwfa
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